二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(639)

2月26日(木)

(256)きずがなければ人に得られる③

「だから買手のないのは当然なのだ。これを柿や梨にたとえれば、しんとうが曲がって渋そうに見えるのと同じことで、それでは人が買わぬのも無理はない。よくよく考えねばならぬ。

古語(大学)に『中に誠あれば外にあらわる。』とあるとおり、傷がなくてしんとうの真っ直ぐな柿が、売れぬということはあり得ない。

どれほど草深い中でも、山の芋があれば、人はすぐ見つけて捨てては置かず、また泥深い水中に潜伏するうなぎ・どじょうも、必ず人が見つけて捕まえる世の中だ。だから内に誠があって外にあらわれぬ道理はありえない。この道理をよく心得て、自分の身に傷がないように心がけるがよい。」

専門店の誇りは消えた!

価値観の多様化で「損か得か」「良いか悪いか」「自然か不自然か」「好きか嫌いか」など価値基準は人それぞれです。「平凡以下の現場」では「損か得か」で判断するのが普通の尺度になっています。

昔から商人は「損して得とれ」を常道としてきたのですが、売買は安ければよし!、店では入社3年目の若い店長が誕生!「給料の高さで人の価値!」が分かるかのような理不尽。一方で「若い社員が入ってくるだけでも凄い店」との声も。

すべて価値の基準を売り上げの高低で判断するのは、業界では通用しても社会的な価値とは関わりありません。このような目先の判断で永続性につながる信頼が得られるどうかは疑問です。