「魂を揺さぶる森信三の教学」—出逢う喜び 学ぶ喜びー(5)

何が難しいと言っても、「父を語る」テーマほどの難題はありません。いわんやその人が超人となればなおさらです。だからこそ迪彦氏に期待したいのです。

寺田一清先生が森先生の心、魂を「孫の世代」へ伝えよう!、と提唱していたのはさすがで、各地の「読書会」「研修会」の拡がりの大切さを痛感します。

寺田先生にはぜひ「百才目標」を達成していただきたいと念じています。若さ、気力、力強い声はそれが可能であることを示唆しているようです。

翌朝は二人の会員が「森信三先生から学んだ」貴重な体験を発表。特に生涯を教師として情熱を貫いた忍耐力、誠実さ、謙虚さには頭が下がる思いがします。

ひとたびは教師を目指しながら、その適性に欠けていたわが身を自覚していただけに、「流水に文字を書く」純粋さに心を打たれるのです。

最後の講演は「すべての命の輝きのためにー途上国の人々と共に学んだこと」の本田徹先生。(浅草病院医師、シェア=国際保険協力市民の会代表)

結論から言えばまさに「医は仁術」、いのちを守る使命感と仁心に満ちあふれた人格が象徴的で、国際的に活躍する有能な医師との印象を深めたのです。

それもそのはず、医師への動機が「長崎の鐘」にも歌われた永井隆博士が「問いかけるものは何か」ということです。

仕事を終えた原爆投下の数日後に博士が自宅へ帰り、見つけたのが焼け跡に残った「ロザリオの鎖」。一瞬にして博士夫人は尊い命を失ったのです。

医師としての師表(尊敬のお手本=ロールモデル)は永井博士と言われる本田先生の優しいお人柄が分かるようです。