10ヶ月間の「まとめ」に代えて(23)

「クオリアの探求が学問の境界線を打ち破る力」に習い、「クオリアの探求がマーケットを拓く!可能性がある」ことを強調したいのです。

数年前から弊社はこれまでの催事企画に変わるプランとして、一年「52週のマーケティング」を基本にする店頭歳時イベントを提唱しています。

日本の歳時記に合わせ、伝統行事を伝えるイベント提案です。

その一環として最近大ヒットしたのが「だいじなこと ちゃんときちんと」(日本に通過儀礼が多い理由)という絵本(定価300円)です。

これぞ「クオリア」と感じる井上分香さん独特の温かく、可愛らしいイラストに合わせ、ホロリと心を打つコピーがページを追って目に飛び込んできます。

日本人は生まれてから命を終えるその日まで、節目毎に感謝、お祝いの儀式を行ってきました。その一つひとつが「生涯一度」だけの思いを込めた通過儀礼です。

その厳粛な儀式の心を絵本でお伝えしようというチャレンジです。果たしてこの絵本は発売して1ヶ月足らずで二万部を突破しました。

予想を上回るこの種の絵本としては驚くべき反響です。「日本人に生まれて良かった」という情感(クオリア)を絵本から確認することができるのです。

こうした通過儀礼は単にきものマーケットだけではなく、ジュエリーはもとよりさまざまのマーケット開発、創造に当てはまるのではないかと考えられます。

変化するライフスタイルのなかで節目の儀式が見直され、ますます日本文化に注目が集まる「日本帰り」の風潮が強くなってきたように痛感しています。