【7人の「その後」が描かれる】
劇場アニメ「かがみの孤城」は、去年公開された「アイの歌声を聴かせて」同様、地方の映画館によっては1ヶ月未満で終映されるケースがある、評価の分かれる作品。
しかし、鑑賞者の大半は高評価しているはず。なぜなら、大ヒット御礼として、エンドロール後に新たなカット(特典映像)が追加されるほど。評価が分かれるのは、映画館運営者の間で、だろう。
そのカットは、入場者特典としてこれまで配布されてきたポストカードの絵の他、同じタッチの別のイラスト。その大半は主要登場人物7人の「その後」と言うか、各人の各年代の一コマ。
ただ、ちょっと疑問に思うのは、7人は孤城での記憶を持ったまま、元の世界に戻ったのか、そうではないのか、という点。原作は読んでいないが、漫画版では皆、記憶を失って戻っている。
しかし映画では、元の世界に戻った後、なぜか声優が異なるアキは、こころに気づかれないよう、テーブルの下でこころに向かってピースサインを出した。これは明らかにアキが孤城での記憶を持ったまま、戻ったということを表している。
リオンもラストでは、校門近くでこころに声をかけ、一緒に登校した。ここでも二人は記憶を持ったまま、戻ったように覗える。記憶を失って戻るのと、記憶を持ったまま戻るのとでは、ストーリーの意味合いが大きく異なる。
記憶を失って戻ると、ハッピーではあるものの、切なさが残る。しかし記憶を持ったまま戻ると皆がオールハッピーとなる。もちろん、映画鑑賞者は全員、後者だったらいいと思うはず。
前述のカット兼、入場者特典の内、「オレも行ってみたい」というポストカードは、リオンとこころが2006年、アキの元を訪れるイラストだが、記憶を持ったままだと、アキは「リオン君もやっとこころちゃんと一緒に来てくれたのね。」と言うだろう。
マサムネがスバルのサイン会に参加している2013年の「オレの神様」では、記憶を持ったままだと、スバルはマサムネに「あの時の約束を果たしたよ。」と言うだろうし、マサムネは「オレもそうなると信じてたよ。」と言うだろう。
狼様がケーキを食べている「ありがとう」は、狼様がリオンや映画鑑賞者に対して、礼を言ってるんだろう。しかし狼様だけは、元の世界に戻っても「死」は避けられない。そこがこの映画の切なく、悲しいところ。エンドロール後の各種カットでもそれは十分伝わる。
私はこれまで涙を流して鑑賞した映画は、二度と映画館では見ないようにしてきた(例外は「ももこ、かえるの歌がきこえるよ」)。それは感動が薄れるから。しかし「かがみの孤城」は漫画版を見て新たに感動したから、再び映画館に足を運んだ。それでも感動は変わらなかった。
特典のポストカードでは「あなたが8人目」というタイトルのものもあったが、まだこの映画を観ていない人は是非、映画館に足を運んで8人目の主人公になって貰いたい。
是非、感動してきたい、という人は次のバナーをクリックミー。