今日筑後試験場へ免許更新に行って思い出したことがあります。
いつもはのんびりと季節ごとに変わる畑の景色を楽しみながら通る県道で、後ろから迫ってきた大型ダンプにあおられました。
まだドライブレコーダーが普及していなかった頃のことです。
私の前には40キロの制限速度を守って走る車が・・・
突き当りがT字路の交差点でやっと前の車が左折し、ダンプのウインカーが私と同じ右折の点滅なのを確認して、前方がガラ空きなのをいいことにアクセルを踏みました。
ダンプが追ってこないのにホッとしたのも束の間、曲がり角から突然出てきたパトカーに停止を命じられたのです。
「30キロオーバーです」と警察官に言われました。
ダンプの高い運転席からは、畑に止まっているパトカーが見えたのでしょう。
スピードを落として悠々と走り去るダンプが憎らしくて、どんなに地団太踏んでも踏み足りないくらいでした。
一発免停を食らったので、停止処分者講習を受けに行きました。
筑後試験場の教室には、様々な年齢のスピード違反仲間らしき人達が座っていました。
「90過ぎとるばってん、田舎じゃ車が無かとどげんもならん」(どうにもならない)と話す声が聴こえてきました。
「ばあさんと二人きりじゃけん、ばあさんも連れてきた」と。
昼休みになり近くで昼食を取ろうと外に出ると、先ほどのおじいちゃまとおばあちゃまが手を繋いで歩いていく姿がなんとも微笑ましく目に映りました。
午後は前方にある道路状況を映し出す画面を見ながら、運転技能をはかるドライビング・シュミレータの教習。
私も初体験でしたが、先ほどのおじいちゃまもついていけずに、何度も「アッ!」とか「ウッ!」と声が出ていました。
その様子を見て若い男性ともう少し年上の男性が、あからさまに嘲笑していたのです。
「あなた達は90歳を過ぎても、廊下でじっと待っている奥さまとおじいちゃまのような二人には絶対なれないから!」と心の中で思いっきり悪態をつかずにはいられませんでした。
講習が終わって帰りに免許証を受け取りましたが、あのお二人はどうだったかしらとあの日見た光景が甦ってきました。