この度はA Taste of Honeyを応援いただきまして有難うございました。

お蔭さまをもちまして、無事公演を終了する事が出来ました。

今回の公演はこの作品の「出発点」です。
舞台に初めて立つメンバーも大勢居ました。

今回の目標は俳優が舞台上で自分自身と繋がる瞬間、相手と繋がる瞬間を体験することでした。
3時間の公演の中で、各メンバーが何度もそういう瞬間を体験する事が出来ました。

その意味で目論見は大成功でした。

そういう瞬間に敏感に気付き面白がってくださったお客様も大勢いらっしゃいました。

しかし勿論、作品としての完成度はまだまだこれからです。

役の考えや行動、関係性も、俳優自身がもっともっと理解し深いところから実感できるまでにならなければいけません。
キャラクターももっと探らなければなりませんし、作品の構成やテンポもこれからです。

これらを表面的な形として演出で俳優に「つける」ことはそれほど難しいことではありません。
しかし、そうやって作り出された作品は無機質な作り物の演劇でしかありえません。
台詞と動きで何が起こっているかを観客に説明する演劇。

しかし私達が目指すものはそれでは有りません。

そこに、その時本当に考え、欲求し、行動する実在の人物としての役が立ち現れ、観客の前で本当に葛藤を繰り広げる。

そんな有機的な真実の舞台が生まれる為にはもう少し時間がかかります。

こういう舞台を体験するとき、お客さんはどこかの誰かのお話を見るのではなく、舞台上に自分の人生を追体験することになります。

それが劇中の喜びの瞬間であれ悲しみの瞬間であれ、何故か観客は、心の中の何もかもが洗い流され、生まれ変わったような、心と身体の深い部分からの癒しを体験します。

私がアニシモフの指導の下、チェーホフのワーニャ伯父さんという作品に取り組み、アーストロフという役が美しい瞬間を生み出し始めたのは4年後、3時間の舞台の中で一瞬、そんな瞬間が生まれるようになりました。
一瞬ではなく奇跡のような時間が舞台上を流れるようになったのは6年後でした。

今回のプロジェクトは驚くべき速度で進んでいます。観客にそれと分かるミラクルが起こり始めるまでに、もう1年や2年で十分だと感じます。

皆さんには、今後繰り返していく公演で、必ず『奇跡の生まれる瞬間』に立ち会っていただく事が出来ます。

私は俳優として身をもって奇跡が生まれるまでの過程を体現して来ました。これは嘘でも何でもない明らかな事実です。

どうぞ、今後のこの作品の成長に期待をして頂き、その成長過程を目撃していただければメンバー一同何よりの幸せです。

ご来場頂いた皆様
今回は客席数の関係で残念ながらご来場頂けなかった皆様
遠くから応援頂いた皆様
観劇し気に入ってお声をお掛け下さった皆様
気に入らず抗議の文章を頂いた皆様
はじめから応援頂けなかった皆様
今回の我々のもくろみに対し賛否両論どんな形であれ関わって下さった
全ての皆様に
心から御礼申し上げます。

どうぞこれからも温かな目も厳しい目も何でもござれ
どうぞ関心を寄せて関わって頂ければ
私としてはありがたい限りです
今後とも演劇を通して世界を観察し貢献して行きたいという思いに変わりはありません
死ぬまで進化し続けて生きます

今後は6月もしくは7月から継続的なアトリエ公演を考えています
正式に詳細が決定次第こちらでも、またHPでもお知らせいたします
どうぞそちらにも足をお運び下さい

心よりの感謝を込めて 

           合掌

Prayers Studio 渡部朋彦