至上の愛
マスター ここいいかなぁ
申し訳ございません こちらのお連れ様のお席でして
あっ じゃぁ 向こうの席に
申し訳ございません
確かにそうは言ったものの その席には 今日はだれも座られることはないのです いや もしかしたら 既に座られているかもしれませんが・・・。
実は今日は和田様の月命日にあたる日だからです
和田様の彼女 そう 今 ワタシの目の前に座られてグラスを見つめられている方が 和田様の彼女(いや こういう場合は 元彼女になるのでしょうか??) 木原様
実は半年ほど前から こうして和田様の月命日には 必ず この席で ワインを飲みにやってこられるのです それは この場所が 和田様と会った最後の場所だからかもしれません
しかし 木原様の表情は あまりに悲しげで それを どうすることも出来ないワタシは自分自身がすこし歯痒くもあるのです
あれは 半年ほど前のこと 和田様と木原様は 結婚式の打ち合わせの後 このお店でゆっくりとした時間を過ごされた後 それぞれの自宅へと 帰られえ行きました 和田様は 少し酔い覚ましをと思い 自宅の手前でタクシーを降り 徒歩で帰られていたそうです それほど酔われてはいませんでした 確かにワタシもそう思ってはいたのですが ちょっとした道の段差に足をとられ ふらついたとき 体がすーっと 車道側に引き込まれ と思った瞬間に 和田様は 生から死へと大きく歩む道を変えさせられたそうです
その瞬間から彼女はまるで何かに獲りつかれたように天を仰ぎ涙が零れないように・・・・・運命という言葉で終わらせてしまうにはあまりにも悲しい出来事です
ワタシは毎月彼女が現れる日に こうして席をお取りして おふたりの幸せな時間を邪魔しないようにする そう心がけることが せめてものご供養だと思いながら 今日も この日を 向かえています
木原様 このようなワインはいかがですか 「極旨」 そんな表現がぴったりなワインです そう言って彼女に
「ジャン・バルモン カベルネ・ソーヴィニヨン」
南仏ラングドックのワインをお勧めしました
お店には 切なくも素敵なコルトレーンのサックスがナリワタッテいました
どなたか 木原様の悲しき過去を 一瞬で忘れさせるような素敵な出会いを演出していただけないでしょうか
今なら,ポイント5倍(2/6 9:59迄)ジャン・バルモン カベルネ・ソーヴィニヨン[2006]
至上の愛(デラックス・エディション)