二十代、三十代で培った困難との付き合い方の中で、不器用ながらも体得してきたことは、
潔くあきらめることで次が見えてくるということだった。
それは前向きな「あきらめ」である。
投げやりとは違うのだ。
そして、どうしてもと望むことは、その願いをけっして捨てるべきではないということもわかってきた。
(中略)
・・・これもまたひとつの執着といえるかもしれない。
あきらめとは矛盾しているようにも見えるが、
執着すべきことが何かをわかった上で取捨選択する姿勢が結局は必要なのだ。
そして真摯に願い続けたことは必ず叶うのである。
by 光野 桃
著者の光野桃氏は、ファッション雑誌の編集者から、エッセイスト、小説家へと進化してきた人。
20代の頃、ファッションやインテリアを通じて人生まで語ってしまう彼女のエッセイが大好きでした。
この本では、4年間のミラノ暮らしで、美というもの「洗練」というものについて、情景が鮮やかに浮かぶようなエッセイを披露してくれています。
ご主人の転勤で、ミラノ暮らしを余儀なくされた30代で、おそらく色々と悩むところがあったのでしょう。その困難を突き抜けたところに、自分が本当に望むものを探し当てたであろう作者の言葉は、とても身にしみます。
「洗練」の法則―自分らしい生き方が装いの「格」をつくる (講談社ニューハードカバー)
