今日は、午前中一コマのみのレッスンで、比較的気分がゆったりします。しかも、金曜日をオフ日としている私にとっては、木曜が週末の始まりですしね♪


今日のレッスンは、前半はバランスを取るポーズを中心でした。


ネコやダウンドッグのポーズで、手や足を上げたりするものから、ワシのポーズ、木のポーズ、いすのポーズなどなど。


自分の立ち姿を観察してみると、一見、まっすぐ立っているだけのように見えても、じつは私たちの身体の中には、たえず生命の躍動があり、生きている限り、呼吸は絶え間なく続いていきます。


海の波のように寄せて返してくる呼吸、この息をするという行為自体が、身体の中に自然なリズムをつくっていきます。


また、自分の身体の内側の微妙な動きを観察していくと、呼吸とともに様々な細かい動きがあるのが感じられます。


お腹や胸が膨らんだりしぼんだりする時の小さな動き。


息を吸うときに背骨が伸び、吐くときにはリラックスして、すこうし丸みをおびる様子。


バランスポーズだからといって、氷のように、あるいは彫像のようにカタマル必要はないこと。むしろ、ゆったりとした呼吸を心がけながら、身体の内側の微妙な動きを感じつつ、その揺れを味わってください。たとえバランスを崩してしまっても、ちっとも気にすることはなく、その感覚を楽しむようなつもりで、ポーズを行っていきましょう、というお話をしてからレッスンに入っていきました。


ロドニー・イーは、著作 「YOGA: the poetry of the body」 のなかで、バランスポーズのシリーズに ”A Falling Practice” という名をつけているくらいです。 さらに続けてこんな言葉も。


Balance is your ability to fall and then retrieve yourself. ・・・・・These (balancing) poses allow you to play with falling and centring, centering and falling.


つまり、遊びの精神、楽しむ気持ちや余裕があったほうが、バランスポーズに相応しい感じですね。



タダーサナという基本の立ち姿を確認しつつ、もうひとつのポイントとして、今日のレッスンでお話したことは、自分の身体を 「木」 に見立てるということ。


そうすると、下半身は木の根っこに、体幹は文字通り木の幹に、そして腕や頭は細い枝にあると考えられます。


下半身については、足の裏から根が、ぐんぐん地球の中心へとのびていくように、下向きのエネルギーを感じていきます。


下半身が安定し、骨盤も中立の位置に起きると、地へ向かうエネルギーとは反対の力が働き、上向きのエネルギーが生まれます。背骨は自然なカーヴを描いて、背筋がすっと伸びてきます。それはあたかも、木が太陽に向かって、天に向かって伸びていくかのようです。


天と地のあいだ。


この世界で生きている私たち、人間という存在。



バランスポーズの効果のひとつに、集中力が高まるというご経験のある方は多いと思います。


それは、バランスを取ろうとすることによって、「今この瞬間」、「かけがえのない今という時間」 に意識を集中させることができるからです。


私たちは、日常生活を送る中で、色々なことに心を煩わせています。日々、きのう起こったことを後悔し、また明日のことを心配して生きているものです。


責任ある大人として、それもある程度は、必要なことではありますが、一日のうちほんの少しの時間でも、今この瞬間に生きることを心がけることで、私たちの人生が幸せに近づく、と昔からヨガの教えでは言われているのです。


バランスポーズを教えながら、こんなことを皆さんに伝えたくて、お話させていただきました。



PS-時間つぶしで入った図書館で、何となく手に取ったことがきっかけで ロドニー・イーの印象が、大幅に変わりました。それ以前は、上半身裸の短パン姿というビデオ時代の彼の姿を目にすることが多く、少々引いていた私・・・・。中国系アメリカ人の彼は、元バレエ・ダンサーなのですが、GAIAM から数々のビデオを出して有名になりましたから。


この本は、ただのポーズ解説に終わらず、本の作り自体も、詩の引用があったり、またポーズの説明の本質を的確にとらえながらも、私的な表現で語りかけてくれます。残念ながら、翻訳はないのですが、お勧めです。



Yoga: The Poetry of the Body byRodney Yee