iROZHLAS.cz の記事より

 

 「あくまでも現時点での考察」として、「イタリアとスペインでは新型コロナウィルス による死亡者が多く、ドイツとチェコでは極端に少ない理由」を分析したチェコ語記事の翻訳です。

 

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 ヨーロッパ全体が第二次世界大戦以降、最大の危機に瀕している。新型コロナウィルスの状況は、国によって異なる。イタリアやスペインでは陽性者数に対する死亡率が6〜8%だが、ドイツでは0,4%であり、チェコでも死亡率が極端に低い。なぜか?

 

 (ムニャム子注 3/25(水)現在、新型コロナウィルス によるチェコの死亡者数は6人/陽性者1,654人で、死亡率0,36%。)

 

 イタリアでは、3/1(日)で約1,700人の陽性者と34人の死亡者(死亡率約2%)、現在は7万人が陽性、死亡者6,500人以上(死亡率約9%)。

 

 スペインでは、3/24(火)午後現在、約4万人近くが陽性、死亡者約2,700人。これは、イタリアと中国に次ぐ最高の死亡者数。スペインでも死亡率は相対的に高く、6%前後で推移している。

 

 チェコの場合、新型コロナウィルス に感染したばかりで軽症または症状がなく、検査を受けていない感染者は推定1,500人(チェコ健康省談)。

 

 保健情報統計局(ÚZIS)、Ladislav Dušek 氏談。 

「陽性者数に占める高齢者(65歳以上)の比率は約17%で、少なくとも病気に対する抵抗力が弱い世代を保護出来ていると言える(スペインでは約50%)。高齢者のみならず、高血圧、糖尿病、ガンの疾患がある人も危険性が高まる。

 

 チェコの高齢者は家に籠っているからなのか、高齢者保護措置に守られているからなのかは不明だが、発病したり入院したりする危険因子を抑えられている」

 

 Institutu klinické a experimentální medicíny (IKEM 臨床実験医学研究所) の伝染病学責任者、Petr Smejkal 氏談。

「チェコの医療現場の業務は、稼働範囲内に収まっている。集団行動の機会を最小限に制限したお蔭で感染拡大の速度が抑えられている。

 

 チェコでは、主に医療関係者の献身的な働きぶりのお蔭で、医療システムへの過重負担が回避出来ている。政府の措置が功を奏し、チェコの医療システムへの重圧は抑えられ、とても希望的観測が持てるだろう。重症者が少なければ少ないほど患者をよく治療でき、死亡率を低く抑えられる」

 

 死亡率を抑えられている国はチェコだけではない。外国のメディアはドイツを「ヨーロッパのお手本」と呼んでいる。ドイツでは、2人以上が集まるのを禁止するなどの措置を取った。感染者は3万人と相対的に多いが、死亡者は130人で、死亡率は約0,4%である。ドイツもイタリア同様、65歳以上の人口比率が高い国である。一体、何が違うのか?

 

 「The Telegraph」に掲載された、WHO の緊急支援コーディネーター、Michael Ryan 氏談。

「ドイツの成功の鍵は、大量の検査結果である」

 

 ドイツでは、非常に積極的に検査手続きが行われている。大規模な検査のお蔭で、ごく軽症な患者でも陽性と判定できる。ウィルスが体内に定着する間に患者を隔離し、感染拡大を防ぎ、高齢者を含む免疫力が低下している人々を守れる。

 

 Robert Koch ベルリン研究所長、Lothar Wieler 氏談。

「検査処理能力が鍵で、ドイツではとても重要な意味がある。一週間で16万件以上の検査処理能力があり、今後さらに増やすことも可能。ドイツの感染者の80%以上は60歳未満」

 

 チェコでは、新型コロナウィルス 流行初期段階での検査数が少なかったことで政府が批判されたが、現在は51人の検査員と45カ所の検体採取所で対応。検査と十分な医療施設の確保が最優先事項。

 

 高齢者や慢性疾患を持つ人と同じく、医療従事者も守られる必要性があるが、ヨーロッパの一部の国では、医療従事者の感染防止対策がなされていない。イタリアも該当する。

 

 WHO のチェコ代表、Srđan Matić 氏談。

「医療従事者の感染防止対策が十分に行われなかったことで、患者から医療従事者に感染し、さらに他の患者への感染を招いてしまった。だからイタリアの伝染はこんなに大規模である」

 

 スペインも同様で、約4万人の感染者のうち、医療従事者が5,400人以上(感染者全体の約14%)。この数字は、中国の約3,8%より高い。スペインの死亡者数は、日々急増している。

 

 イタリアとスペインは、医療システムにのしかかる巨大な重圧に直面している。医師は、入院を必要とする深刻な症例に取り組み、医療はますます大きな重圧を受けている。現在、いかに医療体制を準備万端にするかこそが、低死亡率を「保証する」主な要因のひとつである。

 

 Institutu klinické a experimentální medicíny (IKEM 臨床実験医学研究所) の伝染病学責任者、Petr Smejkal 氏談。

「イタリアとスペインは準備が万全ではなかった。ある瞬間に医療システムが重篤患者で溢れ、集中治療室も他の治療部門も埋め尽くされると、医療従事者全員が全力で働かなければならなくなり、重症患者に対して集中的な治療ができず、死亡者が増加し始める。

 

 チェコでは重症患者は現在のところ少なく、医療システムが機能しており、死亡率が低い。イタリアの死亡率が高いのは、突然おびただしい数の重症患者が現れ、医療システムが持ち堪えられなかったためである」

 

 医療システムの準備状態は、人口に対する集中治療室のベッド数で示される。ヨーロッパで新型コロナウィルス の流行が発生する前の最新データによれば、人口10万人当たりのベッド数は、ドイツが最多で29,2床、イタリアは12,5床、スペインは9,7床、チェコは11,6床だった。

 

 保健情報統計局(ÚZIS)によれば、現在チェコでは、感染者の10〜11%が入院している。チェコ麻酔学会、蘇生および集中医学協会の会長 Vladimír Černý 氏によれば、ベッドの使用状況は3/24(火)で63%、約1,700のベッドと約1,300台の人工呼吸器が空いている。

 

 チェコの集中治療室の医師総数は4,000人、看護師15,500人、集中治療病棟には4,481のベッド、人工呼吸器が2,080台ある。また、70台の肺代替体外循環装置(注 血液に酸素を供給する機械)がある。

 

 数千人の専門的な医療従事者は、最高で3万人の感染者がいる場合まで対処できる。感染者の約10%が入院を必要とし、そのうちの約3分の1だけが人工呼吸機や肺代替体外循環装置を必要とする。感染者が3万人の限界を超えると、予備を稼働する。健康省は現在、予備の準備をしている。

 

 死亡率は感染者全員を含んでいないので、単純比較は出来ない。感染者全員の人数で計算したら、死亡率は激減する。

 

 専門家によれば、結論を出すのは時期尚早。感染者と死亡者の曲線は、国によって今後大きく変化するだろう。

 

「Financial Times」に掲載されたハイデルベルク大学病院ウィルス学、Hans-Georg Kräusslich 氏談。

「ドイツでの流行は始まったばかり。この一、二週間だけでも膨大な人数が感染している。今後おそらく、もっと多くの深刻な患者が増え、死亡率も変化すると思われる」

 

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 イタリア医療現場の実情については、ボランティアの救急隊員としても活動中の日本人女生 chiho さんがご自身のブログ「フィレンツェ田舎生活便り2」に書いていらっしゃいますので、ご存知ない方がいらしたら是非お読みください。