「下剋上受験」の原作なのですが。

 

前半は「中卒がなぜダメなのか」という話が延々と続きます。

親から見た「学歴」への動機として、分からなくもない点も多々ありますが。

正直、気分が悪かったです。

前半読んでて嫌になって、2年近く読まなかったですもの。

 

ただ、「俺は年金払わないぜ!信用していないぜ!」という人が周りにいる恥ずかしさ・・・みたいなくだりは、大事だなぁと思いました。

払わないのは格好良いけれど。

結局、年金を払わない人が支払った消費税等々で、年金が賄われている現実・・・。

それに気が付かない無知。

まずは、そういう世界に関わらせてはいけない・・・という動機の所は、親として納得できる箇所でした。

 

その後のページから、ようやく受験対策や具体的なテキスト云々が語られて。

作者がヘバッテしまう所とか、身につまされるエピソードもありました。

でも、作者は(娘さんに教えるために)色々と解法を会得していく中で、いつしか自分の子供の頃のエピソードをリンクさせて思い出すようになります。

 

例えば。

子供の頃に、兄貴がプリン食っちゃって、途中で気づいて殴り合いになったが、下の方しか残っておらず泣いたエピソード。

親は「残っていたから良いじゃん」というが、「下の方は少ないじゃんかよぉ・・・慰めになってねぇよぉ」と、子供時分の作者はび~び~泣いて、親を怨むわけです。

 

しかし、大人になって円錐がどう・・・みたいな解法を知ると、プリンの下の方の体積の方が、実は多いのだと、気が付きます。

これを親が知っていれば・・・と悔やむのです。

兄弟ケンカを終わらせるために、「残ってるから良いじゃん」で強引に終わらせる内に、だんだん親の意見を聞かなくなっていくと。

子供にキチンと説明するためにも、一定の知識は必要だと。

 

このプリンを算数で表すエピソードが、本作の嚆矢(←漢字が読めなきゃ辞書を引こう)だろうなぁ。

娘さんの受験結果がどうなるか?は、どうせネットとかでネタバレされてるんでしょうから、書きません。

問題は、その後のエピローグにありますから。

これは、実際に読んだ親御さんだけが糧にできる内容が書いてあります。

それも、上記の消費税のくだりや、プリンのくだりを読んでいないと・・・血肉はならないだろうなぁ。

 

グダグダ書いてきましたが、まぁ結論として、千いくらのお金を支払う以上の価値はあったな・・・と。

教育畑の、中途半端に偉い先生のご意見を読むより、よほど時間をショートカットできる本です。