六回目の酔鴻忌は、北森鴻さんの七回忌の記念法要と言って良い。
私自身は二回目からの参加であり、5回目の参加にしてようやく遅刻せずに、開始の2時前には大悲閣千光寺に辿り着くことが出来た(笑)
一緒に行ってくれた友人・asaiさん、本当にありがとう!
客殿に入ると、毎年お会いする方々が、今年も笑顔で迎えてくれた。
開始時間の2時を回ってから、ご住職による読経と焼香が始まる。
毎年皆さん、どのような気持ちで焼香されているのだろう?
読経されているご住職、主催のカズさん、北森さんのお兄様、パートナーだった浅野先生、N市のAさん……酔鴻忌には、ファンだけでけではなく、ご家族やご友人、北森さんに近しい方々が何人も来られている。その方々の心中、感慨は一ファンである私とは比ぶべくもない。
二十代の頃に北森鴻の作品に出会い、読み漁り、一度だけ名張の講演会で北森鴻さんとお会いした私はというと、毎年遺影に向き合う度に「北森さんは居ないのだな、生きてらっしゃったらどんな作品を書かれていただろう?」と現実と向き合うような、それでいて、北森さんとお会いしているような、対面しているような気持ちになる。
やはり、読経と焼香で北森さんと「向き合う」ことは避けて通れないし、避けてはいけない。それをやってこその酔鴻忌だと思う。
全員の焼香が終わり、持ち寄ったお酒やお菓子が、机に広げられて宴となる。
ご挨拶に立たれた北森さんのお兄様から、この前年の9月にお母様の法事をされて、その時に北森さんの七回忌も済まされたことが報告される。
そして、毎年のことながら「弟のために集まってくれて嬉しい」と喜んでくださる。
今年は恒例の京都の漬け物に加えて、北森さんにまつわる様々な映像が収録された、3枚組のメモリアルDVDがお土産に配られた。
続いてご挨拶に立たれたのは、北森さんの公私のパートナー・浅野里沙子先生。
出版の世界で、北森さんの作品を最前線で守っているのは、浅野先生だろう。
電子書籍で作品は誰にでも読める環境ではあるけれど、既に亡くなられて新作が読めない北森さんの作品を伝えていくことの難しさを語られて、「どうか北森鴻の作品を、人に勧めて欲しい」と呼び掛けられていた。
かつて、北森さんの講演会を手掛けられ、北森鴻の研究家となりつつあるN市のAさんからは、もはや参加者特典(笑)な北森作品を網羅した「北森鴻の全仕事3 湯田温泉交友録」がプレゼントされる。
今回の目玉は、北森さんの資料を引き継いだ浅野先生からご提供された「鏡連殺」(「邪馬台」)の構想ノートと、シンガー・バルさんご提供の、北森さんの未発表原稿!
その中の、北森さんが作詞されたバルさんの曲「花散らしの雨」は音源も披露された。
そして、恒例のジャンケン大会。
この日はお仕事で不参加だった、モンさんから「瑠璃の契り」の表紙と同じくメーカーの切子が!
浅野里沙子先生からは、何と北森さんが使われていたポーチ(リュック状になる。モンベルクラブでした)に、北森さんの蔵書と、中国語版の「暁英」に落款を押された物が提供される。
私は蔵書を勝ち取りました!
きっと「邪馬台」を書かれるのに集められたんだろうな。古書店で買った?と思しき、値段の書き込みも。