TP(膵全摘術)後は、膵臓が産出していた消化酵素を外から補わなければなりません。先のPPPDの後、膵臓が常人の1/2か2/3の大きさになったので消化酵素を作る力が弱っているだろうということで消化酵素の薬(エクセラーゼ、あるいはストミラーゼ)を飲んでいました。しかし、TP後で膵臓のない暮らしでは、これよりもさらに強力なものが必要です。
膵臓が産出する消化酵素は1) 糖質を分解するアミラーゼ、2) たんぱく質を分解するトリプシン、3) 脂肪を分解するリパーゼなどです。TP後はこれらの消化酵素を補う薬を服用しています。
いま、服用しているのはマイラン社(ヴィアトリス製薬)の「リパクレオン」カプセル150mgです。16mm長さ x 5mm径くらいの大きさのものです。これを毎食「直後」に4カプセル服用します。医師の言い方だと「大量の消化酵素を飲む」ですが、さほどの量だとは思いません。
この消化酵素の薬はなかなか高性能で、今のところ快調です。油ものが過ぎると消化不良・下痢を起こすらしい、と聞いていて、そりゃそうだろうと思います。限度を知りたい気はありますが試す気はありません。が、カツサンドくらい(たとえばコメダ珈琲のカツパン)は大丈夫です。酒類も少しならOKそうですが、これもわざわざ試す考えはありません。
TP術後に病棟で食事が再開されてから、リパクレオンを飲み始めるまでは、白っぽくて水に浮く柔らかい便が出ました。脂肪便と呼ぶそうです。医師に相談するとリパクレオンが処方されて、服用後1週間たたないうちに多少黄色くなって落ち着いてきました。今も日によって色の濃淡は多少あります。また、便もガスも非常に臭う時期がありましたが、今はさほどではありません。腸内フローラが落ち着いてきたのかもしれません。
こうしてこの薬のおかげで食事の消化は良いと思っていましたが、食事の量に比べると体重は手術後に減少した状態からリカバリーが進んでいません。60歳オーバーで、今の体重が50kg台前半で、デスクワーク中心の勤務や生活なら、食事を2,000kcal/日も摂取すれば十分すぎるように思いますが、体重はほとんど変わりません。
単に体重を増やしたいのではなくて、抗がん剤に長く耐えられる体力が欲しいので、体重を増やすのは意味があると考えています。
医師に訊ねると、食べ物を消化していても吸収できるレベルまでは消化していないのだろう、リパクレオンの量を増やすか、あるいは食事の最中に服用してみる手がある(食べたものと混ざりやすいから)、とのこと。食中にカプセルを飲んで試してみることにしました。