佐賀のサンムショク男

 

 

 

え~、今は昔――と語り上癖がついておりまして、そう遠くない二三日前――何のことはない現代ですナ。はなわが十数年前にヒットさせた歌のタイトルのところに『佐賀のサンムショク男』と言う男が住んでいまして。

 

このサンムショクと言うのは要するにーー

① 集団で目立つような個性も特にコレと言った物がない。

② 身体は華奢(きゃしゃ)で腸が細く、物もあまり食べない。

③ 職業も生まれてこの方、特にコレと言った物に就いたことがない。

 

サンショク(色・食・職)揃ってムショク、だからサンムショク。

おまけにグズデブドジの3ドン。サンムショクサンドン。

上に桜でんぶでも振りかけりゃあ、美味しく召し上がれそうですが、性格が意地悪で捻くれてるから食うに食われない。こう言う男に限ってやることがないから、日頃から家にこもってネットや図書館なんかで情報を取り集めている。

 

え~、おっかさんメシ!

 

なんだい、なんだい、しょうがないね、お前さんは。今何時だと思ってるんだい、こんな遅く起きて。本当に貴方は世間の皆様の言うとおりサンムショク男なんだから。これで私が世話してあげなければ食う寝る住むの衣食住もロクにせずに、飲む打つ買うの3堕落に溺れる体たらくに落ちこぼれただろうに。たまにゃ、外に出て外の冷たい風に当たって『キツイ キタナイ キビシイ』の3Kって奴を少しは勉強したらどうなんだい?

 

おっかさん、今世間の多くの会社は『3K』を辞めようって言う方針なんだ。代わりに『格好良い 感動する 稼げる』の『新3K』が今は提唱されてるんだよ。

 

なんだいお前さんは、屁理屈ばかり上手くなって!『新3K』も良いけど、早く外に出て稼いで、今私達が住んでる家を新しく建て直す『新3LDK』男にでもなったらどうなんだい?

 

それからね、農業の分野では『ジビエ』って言う言葉が流行っていてね。

これは野性獣(例えばイノシシだね)を捕獲して、食べることで捕まえた野性獣を無駄にしないって言う運動なんだよ!

ハイハイ、そうかい!そうかい!野性獣を捕獲するのも良いけど、その前に貴方自身が獣になって美女の一人でも捕獲してきたらどうなんだい?

 

おっかさん、それじゃまるでBeauty&Base Ball!!あっ、それは美女と野球か?

 

又、そんなくだらないダジャレを言って、本当に口が減らないねえお前さんは!お前さん-貴方が学校で言った唯一受けた洒落は『今何時?所ジョージ』と朝礼の席で言った『起立!!礼!! 身脚!!』だけじゃないかい?あの時はあまりのくだらなさにお前さん、私もみんなと一緒に『いっちにっ、さんしっ、ドターッ』とのけぞったよ!

 

『メシ!!フロ!!ネル!!』

 

しょうもない男があったもんで。ところがこういうどうしようもない男が増えてきたところに世は空前の『AI』ブーム。人工知能を持った機械が人間に追いつけ追い越せときたものですから、いよいよこういう男は不要になってくる。この男もいつまでも黙っちゃいられないと、このブームにのって自分も何か新しいことを始めようと目論む。

 

ウーン、何か無いかなぁ?嗚呼、しかし勉強なんて何でやらないといけないんだろうと思っていたあの頃と同じ、働くって何で働くんだろう?そうだ!僕じゃなくて僕のレプリカント=複製品を作ってそれに働かせれば良いんじゃないだろうか?嗚呼、でもそのレプリカントをどうやって作ろう?

 

(トントントン トントントン トントントン トントントン)

 

 

なっ、何だ?机の引き出しを大家みたいにノックする奴は!!なにやら嫌な予感

 

『ハイッ、今空けます?少々オマチクダサーイ』

そう言って引き出しをガラガラっと空けて中をのぞき込むと

『ハジメマシテ、ボク ドラエモン』『ドッ、ドラエモンじゃないか?なっ、何しに来たんだキミはぁ』

 

『のび太君があ~んまり困ってたみたいだから、助~けてあげようと思~って21世紀からヤ~ッテキマシタ』

『....キミ、ダメじゃないか?今はもう既に21世紀だよ。それに僕はのび太じゃない。『山崎英俊』って言うレッキとした本名があるんだ。そうか、人工知能が幾ら進歩したからと言って未だテレビで覚えた台詞をやっと覚えた程度。しかし最近のAIは駄洒落を言えるようになったという。キミ、何か駄洒落は言えるかい?』

『グフフフフ、丁度机の中を泳ぎ回ってる間、のびた君を面白がらせようと思ってカ~ンガエテキ~マシタ。ハ~ッピョウシ~マ~ス』

 

『....ドラム缶の上にドラミちゃん』

 

 

『....ドテーッ、キミ!面白くないよ!!帰ってくれたまえ!!』

『コ~リャ、又失~礼シ~マシタ!!』

 

『四次元ポケット~』『閉店ガラガラ~』

『キミトハモウ、ヤッテラレヘンガナ』

 

二人:どうも、有り難うございマシたぁ。

 

何たる体たらく。これが、本当の『悲しい性(さが)』

『佐賀のサンムショク男』の小咄でありました。