古の武術を知れば動きが変わるカラダが変わる―NHK人間講座『古の武術に学ぶ』の甲野善紀・34の技をDVD120分収録! (MC mook)
古の武術を知れば動きが変わるカラダが変わる―NHK人間講座『古の武術に学ぶ』の甲野善紀・34の技をDVD120分収録! (MC mook)

今日の一冊、「古の武術を知れば動きが変わるカラダが変わる」甲野善紀氏の古武術書は、膨大な数刊行されています。その中でも本書には約2時間にわたり、甲野善紀氏の34の技が完全解説されたDVDが附属。足の動きや重心の変化など、言葉や文面ではなく、映像として技を見ることができます。ランニングはもちろん、他のスポーツに応用できるスキル,ナンバにも触れられて,既刊書籍中最もお値打ちだと思います。桑田真澄選手や王貞治選手、400戦無敗のヒクソン・グレイシー選手までが紙面に登場。一番面白かったのは、巻末の対談「常足(なみあし)研究最前線」。

小山田 マラソン解説者は、「まだ足の裏が見えているから元気」という発言をします。足裏が見えるのは、後ろへ蹴り込んでこそ。

小田 地面を後方に蹴るという行為は、走りにブレーキをかける行為とも言えるのです。

小山田 片足で着地した後に、もう片足をどれだけ速く出すか。そして、その繰り返しをいかに速く続けるか。

小山田氏の最後の発言、「片足で着地した後に、もう片足をどれだけ速く出すか。」はオリンピック金メダリストのマイケル・ジョンソン選手も走りの秘訣として、語ったことがありますね。

◆感想、コメント
「地面を後方に蹴るという行為は、走りにブレーキをかける」という点で、Leadvile100優勝者のアントン・クルピチカ選手やWestenStates100の伝説で、元コースレコード保持者の伝説ジェフ・ロス選手も蹴り込んでいません。足裏をなるべく見せない走り方をしています。彼らは超省エネ走法を追究した結果、そうなったのではないでしょうか。

一方、世界最強とうたわれるキリアン選手や日本の鏑木毅選手は蹴りこむスプリント系の走りをしています。走り方は大きく違えど、それぞれの走りで世界のトップにいるのが面白いですね。さらに58歳でトレイルランニングの世界大会を制したイタリア英雄、マルコ・オルモ選手はまた上記のどのランナーとも異なる走りをしています。

トレイルランニングにおいては地面を蹴るのではなく、踏むことが重要。自分がブレーキのかかる蹴りこむ走りをしているかどうかは、雨の日にトレイルランニングをすれば、すぐわかります。泥のぬかるみや濡れた落ち葉の上で足を蹴りこめば、瞬く間に滑ることでしょう。それで体が尻ごみした結果、太もも前部などに余計な負荷がかかり、足の攣りにも起因します。

甲野氏の体の使い方は、トレイルランニング競技においても非常に興味深い。甲野氏のランパン、ランシャツ姿は想像できませんが、もし一緒にトレイルランニングすることがあれば、下りで転倒した時に、自然と前方回転受け身されるのでしょうかと想像してしまいました。