ム | スターチャイルドのクリスタルダイアリー

スターチャイルドのクリスタルダイアリー

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ネパールのことを書いたので
もう一つ旅の思い出を書こうと思います

それはもう何十年も前のことなのに
いつでも私の心に鮮やかに蘇ってくる
とてもシンボリックな意味を持つ
時空を超えた大切な宝物なのです

あの時に手渡されたものの事を
私はずっと考えているから

それは御釈迦様誕生の地 ルンビーニ
を訪れた時のこと

今でこそ様々な国の寺院が建てられ
観光地になっていますが 当時は
訪れる人もほとんどおらず
これからルンビー二に行くと言うと
親切なネパリの叔父さん達に驚かれ
あそこは本当に何もないところだから
これを持っていきなさいと袋いっぱいの
クラッカーやバナナを渡されました

バスを降りてみると確かに何もない
真っ平らな土地にポツンと寺らしき物が
建っているだけ

何も知らない私達がフラフラと
その中に入っていくと ニコニコ笑いながら
出迎え入れてくれた一人のお坊さんが
お寺の中を案内してくれたのです

恐らく知恵遅れだと思われる様子でしたが
丁寧に壁の壁画などを見せてくれました

次の日の晩 カトマンドゥに帰るナイトバス
に乗り込んだ私達は あら驚き
ちょうど前の席に座っていたのが
なんとそのお坊さんだったのです
私達も嬉しかったけれど 彼のはしゃぎよう
と言ったら 指で自分の顔を指して
ルンビーニ ルンビーニ
ルンビーニで会ったでしょとハイテンション
隣の席のもう一人のお坊さんが恥ずかしそうに
困ったような顔をしていました

そしてバスが止まる度に 果物やお菓子を
買ってきてくれて 私達にくれるのです

やがてバスはカトマンドゥに近づき
もうお別れという時になって 
彼は懐から大事そうに 一枚の写真と
密教のバッジを取り出して来て
私にくれたのです

なぜこんなに大切にしているものを
行きずりの外国人にくれるのだろう

とても不思議でした
持ち物などほとんど無いであろう中で
きっと彼の宝物だろうに

その白黒の写真は寺院の壁の彫刻を
写したもので裏に片仮名でムと書いて
ありました

私は あれからこのムの意味を
ずっと考えているのです

彼のあの無心の笑顔がどんなに
徳の高い輝きを放っていたか
私達はその後何度も思い出して
泣きそうになりました

無心とは心が無いことでは無く
心の本性の邪魔をするものが
何も無い時に生まれて来ます

人としての苦しみや悲しみを体験し
深く理解した上で それに囚われない
青い空の様に澄み切った心

空 くう とは有形なるものを
生み出す源であり あなたの心が
澄み切っていれば そこから
生み出されるものもやはり澄み切っています

心が囚われている時 人は本当の幸せを
感じる事は出来ない
囚われ幸せではない心から生み出される
現象はどこか色褪せて見えるものです

自分の身に起こった事を 
誰かや何かのせいにせずに 
そこに静かなる魂の神聖な意図を感じること

そこには自分が存在している事への
疑問なき安らぎと宇宙への完全なる信頼が
あるのだろうと感じるのです

ハスの花に座り 全てを受け入れ 慈しみ
静かに微笑むブッダの微笑み

この微笑みと眼差しが どれほどパワフルな
力を持っているか 人間はやがて
思い出す時が来るでしょう

いかなる外からの力にも決して壊される事の
ない この微笑みと眼差しを 
一人一人が取り戻して行くとき 
きっと世界は癒されていく

このムという文字は そんな信頼を
私に手渡してくれているのだと感じています