葬儀当日
亡くなった当初は母への後悔があれこれ浮かんだが
今はもうお母さんと呼べん寂しさが増してくる
私が人生で一番使っとる言葉は「お母さん」だな
そう思ったら
居ても経ってもおれん・・顔を見に行こう
こんにちはー
どうした?って驚いとるようだけど
ゆっくり顔を見て
お母さんと呼ぼうと思って
お母さんはこれからも言えるが
顔を見て呼べるのは荼毘に付されるまで
返事はなくとも何度もお母さんと呼び
部屋を後にした
家に戻りしゅう子がくれたパンで朝食
お代わりするくらい食欲はある
母は装飾具を欲しがることはなく
持っとるのは指輪2つくらい
そこで父と相談してプレゼントしたMIKIMOTOのネックレスに
喜んでくれた母
今日は私が身につけることにした
これで準備OK
あっそうだった、腰痛ベルトせんとね
また留守番でごめん、行ってくる
私今月ゴミ当番
何度か見に行ったけど回収はまだ
これでダメなら帰ってからにしよう
よかった、回収後だった
喪服姿に軍手で片付け
葬儀の日は曇り空
誰もおらん会場でスライドショー鑑賞
が選んでくれた写真
そこには若かりし母や懐かしい父の姿
遺影の額縁はちゃんが選んだ藤色
お母さんにピッタリだ
東京から甥が今朝着いた
家族が来ると
弟は孫にデレデレ
弟の関係者が多いけど
母の知人や親戚
従姉妹たちの顔を見ると涙がドバッ
まりちゃん、しゅう子、けいこさんも来てくれた
顔を見て泣き話しながら笑ったり
親しい人に我慢はいらん、感情の赴くまま
昔と違い火葬場に行くのは身内だけ
みんなに見送られ
私達は霊柩車の後に続く
あっ・・ここは去年母と花見に来たところだ
1年前も天気が今一つ
でも敷地内の桜がキレイだったなぁ
今年は桜を見せてあげられなかったのが心残り
火葬場に着きこれが母の姿を見るのも最後
お母さん、今までありがとう
骨上げまでの待ち時間の間に
精進落としの会食
嫌いなゴマ豆腐、メロン以外美味しかった
向かいは甥
先週おばあちゃんがくれた羊羹を食べたよ
これがその羊羹
甥が好きと言うたらしく
帰省する度に渡しとった
もう好きじゃないかもしれんよと言うても必ず・・
でもちゃんと食べてくれとったんだね
嬉しいだろうな・・お母さん
隣のテーブルにはお寺さんと弟夫婦
母がお試しのデイサービスに行った時の話が聞こえた
すごく楽しかったと饒舌に笑顔満面で語り
また行くのを心待ちにしとった母
あの笑顔を思い出し涙が出た
あれから一週間も経たんうちに
亡くなるなんて・・信じられん
涙も子供たちの天真爛漫さにすぐ引っ込む
子供が大好きだった母
ひ孫の成長をもっと見たかっただろうし
ひ孫の歩く姿
孫の結婚も見たかっただろうなぁ
骨上げの時間になり
ひ孫たちも親の手を借りて
みんなで骨壺に納めた
元々小さいけどこんなに小っちゃくなってと
感傷に浸るも・・重い
骨壺に入れると意外と重いがだね
前回持ったのはぽったの骨壺だから
重いと感じて当然か
ただいまー
お母さんと一緒に帰ってきたよ
ご近所さんが
香典と白の花束を抱え来てくれ
これから頑張らなきゃね
励ましが嬉しくまた涙
祭壇に骨壺を置きお寺さんのお経で
葬儀の全てが終わった
明日は仕事があり帰る甥
1本だけあった羊羹を手渡し
これがおばあちゃんからの最後の羊羹だよ
今日はどこんちも花がいっぱい
今思い返すと
4月1日には美味しそうに朔日弁当を食べとった
でもそこから徐々に悪くなっとったんだね
食欲がなくなり歩くのも辛そうだった
私たちには突然の別れで悔やむ事もあるけど
出産、白内障の手術以外入院する事もなく
頭もしっかりで会話も普通
最近まで書いとったメモ書きも残っとる
前日まで小食なりに自分で食べ
トイレも連れて行きした
最後まで立派だった母にこれ以上は望めん
天国で父と楽しく過ごして欲しい
と真面目に語っとったんに
弟が
30年前に逝った父と今の母じゃ年が違いすぎるよね
なんて言うもんだから確かに・・
そこんとこは折り合い付けて何とかなっとる・・かな?
これからジワジワと母が居ない寂しさが
押し寄せてくるだろうなぁ
でも今はまだ気を張っとるからだね
何とか過ごしとる
ぴっとは葬儀までは普通
でもこの夜は夜鳴きして大変だった
何かを感じとるがかなぁ
そのおかげと言えばいいのか
気持ちは寂しさより夜鳴き
でもそれに気をとられる事が有り難いと思った
から葬儀の夜届いた
ベッドでゴロゴロしながら今日のお話たくさんしたよ
その又姪の様子
おおばあば、ねんねしたよ
おばあちゃん おはなやったよ
おはなどうぞしたよ
おばあちゃん ばいばいしたよ
可愛いひ孫がおってよかったね、お母さん