★1965年 マツダ 初代プロシード GTトラック ~ 自動車カタログ棚から 204 | ポルシェ356Aカレラ

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★【今日の話題 その1・・・トミカ値上げ】
ご存知の通り日本を代表するミニカー「トミカ」単品の現行価格360円(税別)が生産国のベトナムや中国での人件費上昇と亜鉛合金など原材料の高騰を理由に2月1日(土)より450円(税別)になります。1991年(平成3年)以来23年ぶりの定価変更で今回の引き上げ率は25%と今までで一番大きなものとのことです。私はトミカ発売当初の180円から始まり、220円、240円、280円、320円、そして現在の360円と少しずつ上がってきた全ての定価時代のトミカを見ていますが、現在20代位までの人は360円定価以外の時代を知らないことになります。今回の定価変更により2月1日(土)からは税込定価472円、消費税が8%となる今年4月1日(火)からは同486円となります。そこで今日は値上げ前に入手しておきたいトミカを少し買おうかと定価の約32%OFFの1台260円均一で売っているヨドバシカメラに行ってきました。本当に欲しい物だけにしようと考えた結果、昨日発売されたばかりの新車スカイラインV37(インフィニティQ50)などはドアさえも開かないので全くそそられず、71番 日立建機ホイールローダ、102番 同 重ダンプ、そして114番 自衛隊 軽装甲機動車の3台だけ入手。3台共、乗用車でないですが可動部分があって家に帰って遊べるのがポイントです。特に102番の日立重ダンプはズッシリとしたダイキャストの重量感、全体的な佇まい、出来の良さから個人的には現行トミカの中のベストという気もします。しかし、可動部分のないトミカには最近どうもそそられません。これって大多数のユーザーである子供達もきっと同じではないでしょうか。値上げ云々より以前に本当に入手したいミニカーは何かを見極めて不要なモノは買わないのが一番お得で賢明かなと。トミカのコンプリート・コレクションであれば森山先生などのトミカの専門家に任せておけばいい気もします。

★【今日の話題 その2・・・松本清張ドラマ】
テレビ朝日開局55周年記念松本清張二夜連続ドラマスペシャルの一話目「三億円事件」が昨日1月18日(土)夜、田村正和さん主演で放映されましたね。1968年(昭和43年)から1975年(昭和50年)頃までの日本が描かれるということで自動車がどのように登場するか録画してチェックしてみました。調査会社のクルマ?として3代目クラウンMS50が何度となく登場していましたが、ホイルキャップがオリジナルでなく当時ではあり得ないアルミを履いていたのには幻滅しました。日本の映画やドラマでは小道具としての自動車がまだまだ正確には描かれていないという気がします。松本清張作品は以前殆ど全てを文庫で読んでいますが、ドラマ全体としては清張らしい権力の犯罪を上手く描いていたと思います。しかし、ビートルズのメンバーでいうとポールより1年下でジョージと同年、1943年(昭和18年)生まれの田村正和さんは満70歳とは思えない色気を持ってますね。今夜はビートたけしさん(1947年生まれ)主演の「黒い福音」で1950年代末期の日本が描かれると思いますが、果たしてまた自動車がどのように登場するかをたけしさんの演技と共に録画してまたチェックしようと思います。



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★1961年(昭和36年)8月に発売されたボンネットトラック「B1500」の後継車種として1965年(昭和40年)10月7日に発売され1977年(昭和52年)2月まで生産されたマツダのピックアップトラック「初代プロシード」はスクエアなデザインと同クラス他車に勝るパワーが売りであった。
高速道路が完成し住宅地が郊外に進出するなど高度成長時代の配達等業務範囲の拡大に伴う性能の向上がプロシード開発に当たってポイントであった。

しかし、初代プロシードは東洋工業の本拠地広島ではいざ知らず、現行生産車であった1960年代後半~1970年代当時でもあまり街で見かけるクルマではなかったように思う。販売台数も少な目で少々没個性的で地味なデザインだったためか、例えば同時代のダットサン・トラック520/620やトヨタ・ハイラックス10系/20系あたりの同じ1トン積みピックアップトラックのライバル達に比べて影が薄いようだ。1970年代に入り、ダットサン620が77psの時代にプロシードはレシプロ版カペラと同じ100psエンジンを搭載して更にライバル達にパワーで差をつけ、前代未聞の「GTトラック」のキャッチコピーで売られたが販売台数は伸びなかったようだ。

★ところが、北米向きには1974年(昭和49年)4月からモデル末期の3年程、フロントグリルとテールライトを国内向けと換え、何と2代目ルーチェGT(マツダRX-4)と同じ13Bロータリー135psを搭載した空前絶後のロータリーピックアップトラックとして販売され、SCCAラリーなどのモータースポーツにまで参戦していた。
日本でも13Bロータリーは1970年代にマイクロバス「パークウェイ」とホールデン・プレミアベースのフラッグシップサルーン「ロードペーサー」には搭載されたが残念ながらプロシードには搭載されずに終わった。初代プロシードは生涯を通じて影の薄かった日本国内よりもロータリーを積んだ北米で語り継がれるクルマとなりそうだ。
その他、1967年(昭和42年)よりニュージーランドでB1500としてノックダウン生産・販売、1972年より北米・欧州でB1600として販売、1975年以降はカナダで1.8LのB1800が販売された。初代プロシードは国内以外ではプロシードの愛称を付けずに販売された(ロータリー搭載車は「ロータリーピックアップ」)。



●1965年9月27日付  東洋工業プレスリリース 第205号「マツダプロシード新発売」 より抜粋 (B4判・3枚)

当社では、ボンネットタイプの1トン積トラック「マツダプロシード」を当社では、ボンネットタイプの1トン積トラック「マツダプロシード」を10月7日より全国的に発売する。全国統一現金価格(但し、北海道を除く)535,000円(標準工具一式・スペアタイヤ付)。
高速時代に相応しい性能をテーマに設計された「マツダプロシード」は、優れた高速耐久性とダイナミックなスタイルを兼ね備えた新型車で、居住性・経済性の良さも相まって、このクラスユーザーの新しい要望を満たすに相応しい新鋭車種として期待されている。マツダプロシードの主な特長は次の通り。

(1) スタイル
プロシードというペットネームに相応しく、ダイナミックなフラットデッキスタイルに横4灯式ヘッドランプがマッチして従来のボンネット1トン積トラックには見られなかった躍動感溢れるものである。

(2) エンジン
マツダの各種トラックに使用され、その性能は既に定評のある1500ccU型エンジンで、最高出力は72ps/5200rpm、最大トルクは12.0kgm/3400rpmと何れもこのクラス最高である。なお、トルクはエンジン回転数1500から5000回転以上の広い範囲で10.0kgm以上を発揮し、4段フルシンクロのハンドルチェンジと相まって使い易さの点でも非常に優れている。また、燃費は1500ccにもかかわらずリッター当り15.5km(舗装平坦路運行燃費)と経済性に優れている。

(3) 最高速度
最高速度120km/hは、このクラス最高である。フロントにはアンチロールバーを装着しているので、高速時の安定性は一段と優れている。

(4)キャビン
ウインドー面積を広くした(フロントには安全合せガラス使用)明るくシックなキャビン内は3人掛けに十分なスペースを確保し、シートは前後に120ミリ調整でき、体格に合わせて最も快適な運転姿勢が得られる。また、反射光を防ぐクラッシュパッド、確認しやすい大型コンビネーションメーターなど乗用車ムードを盛り上げると共に合理的なペダル配置、操作の楽な一体レバー式ウインカー/ディマースイッチなど人間工学に基づいて細かい点にも配慮がなされている。

(5)荷箱
長さ1875ミリ・幅1460ミリの全鋼製荷箱は、タイヤハウス間を大きく取り、685ミリの低い床面地上高と共に非常に使い易いものになっている。

(6)懸架装置
フトントは信頼性の高いウイッシュボーン・コイルバネ式独立懸架であり、リヤにはプログレッシブタイプのリーフスプリングとヘルパーラバーを併用。また、前後輪共、筒型複動ショックアブソーバーを採用しているので、ロングホイールベースと相まって快適な乗り心地を生むと共に荷傷みの心配がない。

(7) ステアリング
ボールナット式ステアリングの採用により、軽く切れの鋭いハンドル操作ができ、復元力・安定性も抜群である。なお、最小回転半径は5メートルとこのクラスで最も小さく機動性にも優れている。

(8) メインテナンス・フリーの採用
ファミリアシリーズに採用し非常に好評を博しているメインテナンス・フリーを採用し手間のかからない車としている。即ち、①ステアリングの各ジョイント②フロントサスペンションの各ジョイントに従来15箇所あった給油箇所を全部ブラインドにし、車検から車検までグリース注入の必要がない無給脂機構となっている。


【車名の由来】 (1965年10月発行カタログより)
プロシード(PROCEED)とは・・・前進する、進むという意味です。能率を向上して販路を広げ、お店や会社の繁栄を推し進める新しい機動力と願ってプロシード=前進すると名づけました。


【主要スペック】 1965年 マツダ プロシード (型式BUD61)
全長4370㎜・全幅1600㎜・全高1565㎜・ホイールベース2650mm・車両重量1065kg・
FR・UA型水冷直列4気筒OHV1484cc・最高出力72ps/5200rpm・最大トルク12.0kgm/3400rpm・乗車定員3名・最大積載量1000kg・変速機4速コラムMT・燃費15.5km/L・最高速120km/h・販売価格53万5000円(北海道を除く全国統一価格)


※初代プロシードは手元にあるカタログが少なく輸出仕様に至っては残念ながら1部もありませんでしたため、今後見つかった際には随時追加していきたいと思います(他の項目も同様に少しずつ追加しています)。


●1965年9月 マツダ プロシード 広報写真 (縦13×横18cm)
広報写真


●1965年10月 マツダ プロシード 本カタログ (A4判・12頁)
65表紙
中頁から
65中(1)全体
室内
65中(2)室内
シャシー&エンジン
65中(3)シャシーエンジン
裏面スペック・図面
65中(4)スペック図面


●1966年10月 マツダ プロシード 本カタログ (A4判・8頁)
65年10月発行カタログの改訂版で表紙以外は殆ど同じ内容。車両自体には変更なし。
66表紙
中頁から
シンプルな運転席、ホーンボタンのマツダ・マークがそそる。
68中室内


●1969年1月 マツダ プロシード 本カタログ (A4判・12頁)
サイドマーカー、クロームメッキのホイルキャップを付け、内装にはヒーター、ラジオ、ライター等を追加した「デラックス」を追加。
69表紙
中頁から
デラックス・・・フロント向かって右側にはDelaxeのエンブレム、フェンダーには丸いサイドマーカーが付いた。
69(1)デラックス
ラジオの付いたデラックスの運転席
69(2)室内デラックスラジオ
荷台
69(3)荷台
メインテナンス・フリー
69(4)メインテナンスフリー
従来車はスタンダードに
69(5)スタンダード格下げ


●1972年? マツダ プロシード1600 GTトラック 本カタログ (縦30×横24.5cm・12頁)
ブラックマスクに変更。エンジンは1971年よりレシプロカペラと同じ1600cc100psに変更。型式BNA61A。フロントグリル両端にあったウインカーはバンパー内に移され、特徴的だった両端が跳ね上がったバンパーの形状も極く普通のものに変わった。フロントには大きなMAZDAのロゴバッチが付きサイドマーカーは取付け位置と形状が変わった。
72表紙
中頁から
72中1フロント
運転席
72中2室内・海
72中3荷台
ボートを積んだプロシード。この時代の日本でトラックのこのようなレジャーユースはまだ少なかったはず。
72中4レジャーボート席先
裏面スペック
72中4裏面スペック図面


●1975年? マツダ プロシード1600 GTトラック 本カタログ? (縦29.5×横25cm・3つ折6面)
折カタログだが同時期の初代ボンゴも折カタログ以外見かけないので、これが唯一のカタログ?フロントバンパーに埋め込まれた左右ウインカーの外側に白いスモールライトが付いた。表紙に印字されたMAZDAのロゴマークは横長の文字のものとなった。
75表紙
中頁から
75中1全体
フロント・リア共にコンビネーションランプとなった。
75中2変化したディテール
100psレシプロエンジン
72中3・1600レシプロ100ps




★オマケ(その1): 英コーギー 1/36スケール 1975年マツダ B1600 ピックアップ
全長12cm。品番493。ダイキャスト製。リアゲート開閉アクション付。右ハンドルだが輸出仕様B1600のモデル化。当時の月刊ミニチュアカー誌にJMACの故 中島 登会長が、英コーギーが日本ではマイナー車種であるプロシードの輸出仕様B1600をモデル化したことについて「まさか1975年に広島東洋カープがセリーグ初優勝したことを記念して出した訳ではあるまい」と車種選択が不可解である旨を書かれていたが、ミニカーの老舗コーギーがリリースした真相は果たしてどうだったのだろうか。モーターボート牽引セット、キャンピングカーセットのバリエーションもリリースされている。
コーギー青(1)
コーギー青(2)


★オマケ(その2): 英コーギー 1/36スケール 1975年マツダ B1600/ 4×4  (4WD) 「Surfrider」
全長12cm。品番495。これは1980年代半ば頃の再生産品。実車には存在しない4WD仕様。リフトアップされ派手に塗られたカラーリングが泣けるアメリカン・サーファー仕様。
サーファー(1)



★オマケ(その3): 英コーギー 1/36スケール 1975年マツダ B1600/ 4×4  (4WD) 「Tarmac」
全長12cm。品番495。オマケ2と同じ品番のバリエーション。1980年代の製品。カラーリングが軍用車みたいだ。
軍用車(1)
軍用車(2)


★オマケ(その4): 英コーギー 1/36スケール 1975年マツダ B1600 キャンパーバン
全長13.5cm(キャンパー含む)。ダイキャスト製。品番57202。中国生産となった1990年代の再生産品。1970年代のキャンピングカーセットと同じ金型を使用しカラーリングを変更している。
キャンパー(1)
キャンパー(2)

●オマケ1~4を箱に入れたところ
箱入り4台全体

 
★オマケ(その5): 1970s Mazda Rotary Truck 動画
1974年4月から北米で市販されたロータリーエンジン13B搭載車の動画。フロント周りのデザインが全く異なり、テールライトはスポーティーかつスタイリッシュな丸型4連、そしてブリスターフェンダー。当時のアメリカだからこそ売れたクルマで、もしこれを1970年代半ばの日本で売っても売れなかっただろう。日本では現存率が低いと言われるロータリー車だが、アメリカではこのピックアップもかなりの台数が生き残っているようだ。