★1967年(昭和42年)10月の第14回東京モーターショー にはファミリアロータリークーペのプロトタイプ「RX85」と同時にもう1台のロータリーエンジン搭載のプロトタイプ「RX87」が展示された。
RX87はジョルジェット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro： 1938年8月7日－)による美しい初代ルーチェのセダンボディを2ドアハードトップに変更し、コスモスポーツとファミリアロータリークーペよりも大きい655cc×2ローターの13A型ロータリーエンジンが搭載されていた。
翌1968年(昭和43年)10月の第15回東京モーターショーに再度、三角窓のないハードトップ・ボディとなったRX87の市販型に近い最終プロトタイプが展示された後、更に1年後の1969年(昭和44年)10月に「ハイウェイの貴公子」のコピーと共にマツダ・ルーチェロータリークーペが発売された。ロータリーエンジン車としてはコスモスポーツ、ファミリア ロータリー クーペに次ぐ第３弾である。
★美しいボディは初代ルーチェのスタイリングイメージ を踏襲していたが、メカニズムは全く異なり最大の特徴はマツダ初のFWD(前輪駆動方式)の採用であった。
当時のマツダ・ロータリー艦隊のトップに位置する高級パーソナルカーとしての性格を持ち、エアコン・パワーウインドー・カーステレオ・レザートップ等フル装備のスーパーデラックス175万円とデラックス145万円の２グレードが1972年(昭和47年)9月までの3年に亘り販売された(生産は発売後僅か8ヶ月後の1970年6月までに終え、在庫が底をつくまで細々と売られたといわれる)。3年間の販売台数は976台、月販平均27台程度であった。1176台が造られたコスモスポーツよりこのクルマが世に出た数はちょうど200台少ない。
★専用設計の13A型ロータリーエンジン搭載 と共に他車種と殆ど互換性のないパーツ構成と複雑なメカニズムはこのクルマの維持を難しくし、非常に美しい車にもかかわらず現存率を低くしたと言われる。
1980年(昭和55年)頃、私がまだ20歳位の頃にこの維持の難しいルーチェロータリークーペに乗った若い女性オーナーを見かけたことがあった。そのルーチェロータリークーペは真紅でクルマと女性の美しさに思わず息を吞んだ。果たしてあのクルマと彼女は今どうしているだろうか。
【主要スペック】 1969年 マツダ ルーチェロータリークーペ (型式M13P)
全長4585mm・全幅1635mm・全高1385mm・ホイールベース2580mm・車重1185kg・13A型655cc×2ロータリーエンジン・最高出力126ps/6000rpm・最大トルク17.5kgm/3000rpm・乗車定員5名・最高速190km/h・ゼロヨン16.9秒・販売価格175万円(スーパーデラックス)/145万円(デラックス)
●1969年10月発行 マツダ ルーチェロータリークーペ 簡易カタログ （25 cm×27cm・3つ折）
※中頁から
※裏面スペック
●1969年10月発行 マツダ ルーチェロータリークーペ 本カタログ （25 cm×32cm・20頁＋スペック6頁）
ハンドメイドいすゞ117クーペのカタログと似た豪華写真集のようなカタログ
※中頁から
・市販型のボディサイドにもドア後方に「RX87」のエンブレムが付けられている。
※スペック掲載頁(純正ボディカラーは白と淡い黄色の2色のみ)
●1969年10月 マツダ ルーチェロータリークーペ 新車発表会案内状(定形郵便サイズ)
★オマケ： ダイヤペット1/40スケール 1969年マツダ ルーチェロータリークーペ
米沢玩具では何らかのミスでルーチェロータリークーペの金型を同時期に2種造ってしまったらしく、全く金型の異なる単色の198番とスーパーデラックス専用レザートップ仕様の220番が発売された。220番(右側2台)の方にはワイパーやリアデフォッガー等のモールドがあるなど全体に造りが細かく出来が良い。
