アメリカの醜聞 | ロンドンつれづれ

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フランスのペアスケーター、モーガン・シプレ選手の醜聞が発覚した。

 

トレーニング先のアメリカのリンクの13歳のスケーターの少女に対し、自分の下半身の写真を送り付けたというのである。 

 

少女の親は、またアメリカのフィギュアスケート殿堂入りしている2002年のオリンピアン、ジョン・ツイマーマンと2002,2006年のオリンピアン、イタリアのシルビア・フォンタナの両コーチが、少女に対し口封じをしようと脅したとして、訴えた。 当時26歳のシプレ選手は2018年のオリンピックに向けてトレーニングをしていた。 両コーチは、この問題を公にすれば、彼女はもうスケートを続けることはできないと言って脅迫したそうである。

 

USA TODAY紙によると、2017年の12月3日に、シプレ選手は同じリンクで練習をしていた13歳のスケーターに対し、インスタグラムのダイレクトメッセージで自分の下半身の写真を送り付けたという。 また同じリンクの別のコーチ、ヴィニー・ディスペンザは、この少女ともう一人の未成年の少女にピザを買ってやるから、シプレ選手に写真を送るようメッセージを送って頼めと指示していたという。 その日のうちにツイマーマンとフォンタナはこの件について知ったが、シプレ選手は2018年のオリンピックに出場準備をしていたため、少女とその両親には警察に行かないように要請したという。

 

(モーガン・シプレ、左端。 ツイマーマン、右端。 真ん中がヴァネッサ・ジェイムス)

 

ツイマーマンとフォンタナは少女に、「あなたが可愛いからだ。男にはそういう要求はあるものだ。それに誰もあなたの言うことは信じないだろう。とくにフランスのシプレのファンはSNSであんたのことを攻撃するだろう」と言って脅した、と両親は訴えている。ディスペンザはもしなにかしゃべったら、もうスケートは続けることはできないと言って少女を脅したそうである。

 

USATODAYがシプレ選手にインタビューをしたところ、「話すことはなにもない」という返事だった。 またツイマーマンとフォンタナは携帯電話に出ることもなかった。ディスペンサも携帯のメッセージにも、リンクへの電話にも答えることはなかった。

 

アメリカのスケート連盟は、USATODAYに対し、「性的虐待や不適切な行為は許されませんし、もしそれがあった場合、全米スポーツ安全センターか、法的機関、あるいはスケート連盟に連絡してください」と話した。

 

少女は精神科医にかかっており、警察の取り調べに答えることは拒否したという。 問題のコーチたちはまだウェスリーチャペル・リンクで教えているし、シプレ選手はトレーニングを続けている。家族の知人は、今年8月にアシュリー・ワグナーさんがジョン・コフリンのセクハラについてカミングアウトした記事を読んで、少女の事件を全米スポーツ安全センターに報告することを決めたそうである。

 

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USATODAY

https://eu.usatoday.com/story/sports/olympics/2019/12/10/sexual-abuse-olympic-figure-skater-coaches-being-investigated/2629777001/

 

 

それにしても、どうしてアメリカのコーチたちが、フランスの選手の未成年に対する性虐待を隠そうとするのだろうか。 イタリア人の元オリンピアンもいる。 そういえば、埼玉ワールドの公式練習の際、アメリカの23歳の選手が16歳の韓国選手の脚を蹴った、という事件でも、アメリカのスケ連や、北米の選手たちはあっというまに「わざとやるはずがない」と詳細を調べる前に決めつけていた。あの動画を見ると、個人的にはかなり故意の印象があるのだが。 ジョン・コフリンの時も、多くの欧米の選手が「彼がそんなことをするはずがない」とかばっていた。証拠もないのに。そこにアシュリーの爆弾告発。

 

フィギュアスケートの世界では、いまだに「北米と西欧」vs「ソビエト連邦」的なブロック協力があるんじゃないのか。 アメリカ、カナダ、欧州が一つのブロック。それに対するロシアや元ソ連邦の国々。 ちょうどジョン・カリイがオリンピックに出ていた1970年のころは、イギリス人であるジョンに高い点数をつけるソ連や東欧の審査員はいなかったという。 そして日本人はどんな演技をしたって、絶対に勝てない時代があった。

 

最近の競技会の採点における審査員たちの振る舞いを見ても、北米と欧州の審査員、対するロシアとその仲間・・・というブロックがあるように見える。 お互いに、自分と仲間の国々の選手たちをかばいあったり、高い得点をつけあっているように見えるのである。

 

なんだ、ルール改正したって、結局それぞれのブロックに分かれて忖度採点していた6点採点の時代とあんまり変わらないよな、と思う今日この頃なんである・・・。