男子フリー、Skate America | ロンドンつれづれ

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イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

動画は感謝してお借りします。

 

シニアのGPSデビュー戦、島田高志郎選手のフリーの演技です。 ジャンプのミスもありましたが、コーチのステファンも高志郎君も、笑顔です。 よくやった、と思います。 緊張もあったでしょうが、精いっぱい頑張りました。 冒頭の4回転も回り切ってから転倒しています。ここを転ばないで踏ん張れるようになることが課題でしょう。残りのジャンプもURやエッジエラーはついていません。ここのGOE加点を増やしてくること、ステップシークエンスのレベルを上げることなどで、あと5-10点近くの加点の伸びしろがあるでしょう。 シーズン通して、PCSも上がるようにスケーティングや上半身の動きの向上が期待されます。頑張れ!

 

 

友野選手、フリーはアリエフ選手に僅差で4位です。 頑張りました。 冒頭のコンビネーション、高い加点が付きました。 その後転倒、ステップアウトなどが続きましたが、音楽に合わせた表現は得意な友野君です。その後ジャンプも回復し、感情を込めたステップシークエンスへ。 観客の大きな声援をあびました。 昨季よりもよいGPSの幕開けだったのではないでしょうか。 演技後、本人の笑顔も爽やかでした。

 

 

いつも明るいジェイソンが、シンドラーのリストで踊るフリー。  フリーでも4回転ジャンプは回避。 冒頭、3A+2Tは、加点こそつきませんでしたが、3Aがもう安定して入るようになっている証拠です。次の3Fは、高い加点が付きました。 跳べるジャンプに高い加点をつけて、というジェイソンのやり方で、170点以上。 優勝は狙えないかもしれませんが、表彰台に乗ることは可能です。なにより、見ていて引き込まれるパフォーマンスには、彼にファンが多いこともうなづけます。 バランスを崩すかもしれないほどの上半身の動き、膝の屈伸と体重移動、ターンの深いエッジで加速するスケーティング、音楽の解釈、トランジション部分の美しさや二足滑走の少なさがもっと評価されるべきでは、と思います…。 

 

 

ドミートリ・アリエフ選手。 冒頭の3ルッツはダウングレード。が、その後のエレメンツはほとんどGOE加点のつく出来ばえ。 ジャンプランディングで前のめりになるのがちょっと気になるけれど、ロシアスケーターには多い特徴かもしれない…。 彼もジャンプが安定すれば、高得点が期待できるスケーター。 スケーティングや表現には定評があるので、クワドジャンプの種類を増やすことが課題。 

 

 

今もっともジャッジに評価されているのがネイサン・チェン選手。 繋ぎ部分が薄いとか両足滑走が多いとか、いろんな意見もありますが、彼に高いGOE, PCSをつけるジャッジが多いのも事実。 確かに多種類のジャンプを確実に跳ぶ、わかりやすいスケートをします。スケーターをアスリートという目で見た場合の正統派のスケーターかもしれません。 ジェイソン・ブラウン選手の目指す方向とは違うベクトルを持った選手です。 ジュニア時代から見てきた私としては、シニアに上がってもっと複雑な演技を期待していたのでちょっと残念ではありますが、それは個人的な意見です。 クワドジャンプの種類、その安定でいえば、彼が今ピカ一であることは確かです。 ネイサンのジャンプの爽快さや成功率は確かに複雑な繋ぎを入れたら不可能かもしれません。 スケーターの多様性ということを言えば、彼の存在は明らかに他のスケーターの刺激になります。

 

 

 

一方、今回も、ジェイソン・ブラウンなどのスケート巧者を抑えて、繋ぎやスケーティング部分でもネイサンのPCSはトップでした。 これには異論のある人も多いでしょう。 このPCSの高さでは、選手本人もアルトニアン氏もますますトランジションやスケーティングの質、そしてからだの動きの複雑さに対する追及はしなくなってしまうだろう、そして、他の選手も「別に努力しなくていいんだ」となってしまうだろうことが残念ではあります。 審査員にはそこを見抜いて審査する能力がないのか、ということになります。 またTESの高さとPCSは連動してはいけないと夏のジャッジセミナーでもISUは明確に指示をだしていますが、ジャッジたちはこれを理解していないようです。

 

ISUはフィギュアスケートをどういう方向に持っていきたいのか、ルール改正の時には、エレメンツの質の高さ(ジャンプの入りや、出のあとの複雑さなども含め)や、PCSとTESの明確な線引きなどを目指していたはずです。 またジャンプ後のステップアウトやオーバーターンなどのGOE減点も、一つの試合内であっても選手によりバラバラですから見ている方は混乱します。 選手やコーチは、ジャッジのやり方に合わせて、高得点を狙ってくるわけですから、一回一回の採点がジャッジからのメッセージとなるでしょう。

 

先のジャパンオープンでのスコアリングを参考にしないように、というISUの副会長のコメントもあったようですが、昨季行われたルール改訂が、今季もまだジャッジに浸透しておらず、夏のセミナーを終えたあとでもまだ理解されずに混乱を続けているというのでしょうか。

 

 

さて、来週はスケートカナダ。 どのようなジャッジングになるでしょうか。

 

本当に、ファンとしてはただ、単純に、純粋にスケートを楽しみたいんですが、なかなかそうもいかないところが悩ましいところです…。

 

 

 

リザルトはこちらで:

http://www.isuresults.com/results/season1920/gpusa2019/SEG002.htm

 

プロトコルはこちらで:

http://www.isuresults.com/results/season1920/gpusa2019/FSKMSINGLES-----------FNL-000100--_JudgesDetailsperSkater.pdf