ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)


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私は、スケートに関するブログや記事やファンサイトは、実はほとんど読まないのだが、先日まとめて青嶋ひろのさんという方の記事を読んだ。


朝日新聞のWeb論座というのをちょくちょく読むので、彼女の記事が目に付いたのである。たしかこのページはお金を払って購読する人のものだから、あんまり詳しく書くわけにはいかないが、最近の記事で、納得してしまうものがいくつかあったのである。



まず、NHK杯の羽生選手の300点越えを褒め称える記事の最後の部分、「本稿の趣旨とははずれるが・・・」と銘打って書かれた部分、こんな素晴らしい演技を見るべきは、若いスケーターの子供たちであって、あるいはこれからスケートを学びたいという子供たちであって、彼らのための席が設けられていたら本当に見るべき人たちにこの演技がとどいただろうというもので、「ペアやダンス、女子の試合まで良席を空け、リンク外で選手のオッカケをしているようなファンにははっきりいって豚に真珠だった」という一文である。


おもわず、大笑いしちゃった。本当にその通り。


青嶋さんの記事は、批判する人もいると思うが、彼女は長年フィギュアスケート選手を取材してきて、羽生選手のこともかなり若い頃から取材してきているようである。 最近の「練習中の接近事件」では、羽生選手に耳の痛いことも「付記」として書いているが、そちらもジャーナリストとして自分の意見をだれにこびることもせずに書いているという点ではあっぱれと思う。



さて、「豚に真珠」とは、かなり手厳しい言葉だが、たしかに大きな競技会でも、アイスダンスやペアなどの試合の最中に空席が目立ち、男子の最終グループになると急に満席、という状況を日本の試合では良く目にする。 ヨーロッパの試合では、本来アイスダンスが人気だが、最近は日本の旅行代理店が前列の目立つところをたくさん買い占めるので、海外の試合でもアイスダンスやペアの時の空席がけっこう目立つのである。



彼女の記事を読んで、そういえば私も似たような感想をもった一件があったことを思い出した。 昨年12月のバルセロナのグランプリファイナルの練習の会場である。



私たち夫婦は、イギリスからの友人やスペイン現地の友人とともに早朝から練習の会場に座って見学していた。私たちは通常、アイスダンスやペアの練習もしっかりと見ることにしている。ステップワークの基礎ドリルなど、勉強になることが多いからである。


その日はリンク間近ではなく、かなり離れた上のほうの席に座ったのである。


というのは、リンクそばの席には、なにやらたくさん毛布やマフラーなどがが置かれており、複数の人がすでに早朝に訪れて座席を確保してあったからというのが理由である。


このためスペインの地元のお客さんたちは、前方7-8列ぐらいにわたって色々なものが置かれている数十席をみながら、後ろの方の座席に座らざるを得なかったのである。(練習見学の座席は、会場すべてが開放されているわけではなく、一部のみなので、座席数は限られていたのである。)


さて、アイスダンスやペアの練習の時間。私たちの前方で確保された席に、人がやってきて座ることはほとんどなかったのである。 つまり、早朝にやってきてこれらの座席を確保したらしい人たちは、アイスダンスやペアの練習にはまったく興味がなかったとみえる。


我々はそういう空席をにらみながら、アイスダンスとペアの練習を後方の座席で見ていたのである。そういう席に座れずに、通路に立ってみているお客さんもいて、それは後方に座った人から「視界をさえぎっている」と大きな声で注意をされていた。しかし、実際には空席は山ほどあったのである。荷物が置かれていただけで。


そうこうしているうちに、まだアイスダンスなどの練習が行われている最中に、大挙して人があらわれ、座って見ている私たちの前を大勢がなんども横切って座席についたのである。 それは主に日本人の女性たちであった。 そう、このあとの製氷の次に行われるのは、男子シングルの練習なのであった。 「やっぱり・・・」というのが感想であった。


そして、私たちの近くにも4,5席にまたがって荷物をおいて座席を確保していた人物が男子シングル練習の直前に現れて座ったのである。4,5人のグループかとおもったら、なんと日本人の女性が一人でその数の座席を確保していたのであった。


そして、この女性は製氷の時間に会話をしている私たちのところへやってきて、まっすぐに私の顔を見ながら日本語で「うるさいんですけど。静かにしてもらえませんか」と要求したのである。「は・・・」と私は絶句した。


ザンボーニが大きな音を立てて製氷している最中である。確かにイギリス人の友人は、声が大きいし、口数が多い。しかし、本番の演技中に騒いでいたわけではない。製氷中に、今の練習の感想を話し合っていて文句を言われたことは未だかつてないのだ。クラッシックのコンサートだって、インターバル中に話してはいけないなどとは言われないだろう。


友人たちに「彼女はなんていったの?」ときかれて、私は恥ずかしくて翻訳したくなかった。 なんて自己中心的な日本人、と思われるのが関の山である。 スケーターである友人はかなりの数の競技会に選手としても観客としても参加しているが、こんなことを言われたのは初めて、とスペイン人の友人と苦笑いしていた。


くだんの日本人女性ははその後の男子シングル練習が始まると、執拗に特定の選手だけを追いかけてビデオを撮ることに専念していた。きっと、ビデオのバックグラウンドに私たちの会話が入っては迷惑、と考えたのであろう。 


一人で荷物を広げるだけ広げて早朝からの座席の確保。 男子シングルの練習だけを見たいなら、その種目の時間に現れればいいのに、そういう心づかいも無い。その上、スポーツを楽しんでいる現地の人たちに黙れという身勝手さ。この女性は自分の都合だけで行動しているようである。


もちろんこういう人たちがファンのすべてではない。しかし海外遠征をする一部のファンのこういう振る舞いが傍若無人と思われて、日本人のファンの評判がどんどん落ちてしまうとしたら、本当に残念である。 実際、彼女らが応援している選手の評判まで落とすことになるだろう。



だから、青島さんの、「ペアやダンス、女子の試合まで良席を空け、リンク外で選手のオッカケをしているようなファンにははっきりいって豚に真珠」という勇気ある苦言には、まったく同感だ、とうなずかざるを得ないのである・・・。 


演技の出来の良し悪しにかかわらず、自分の贔屓の選手の演技にはやたらにスタンディングオベーションをすることも、選手にとっては案外屈辱かもしれない。 きちんと自分の演技を見分けて評価して欲しいと思っているかもしれないのだ。 それでこそ、スタンディングオベーションの価値があるというものではないか。




さて、若い選手たちは、オッカケをするファンをどう思っているのだろうか。


きっと、怖いと思っているんじゃないだろうか。 私たち一般人が、ストーカーを迷惑で怖いと思うように。


彼らは、ファンに追いかけて欲しくてスケートをしているわけではないのだ。スケートが好きで、スケートがしたいだけなのである。試合に出てよい演技をして、良い結果を残したいだけなのである。 「アイドルじゃなくて、アスリート」と本人たちも何度も口にしているではないか。

 


今の日本のスター・スケーターに対する扱いは、ちょっと尋常ではない。 メディアもファンもなにか勘違いしている。 まるで芸能人のオッカケみたいである。相手のためというよりは、自分のためのオッカケなのである。



バルセロナのグランプリファイナルで、移動する羽生選手とばったり出会いがしらに目と鼻の先で出くわしたことがある。大きなマスクをつけ、回りをセキュリティの人に囲まれ、その背後には大勢のファンが写真を撮る様子がスマートフォンの壁のようになっていた。


チラッと目が合って、我々はその一行と無言ですれ違った。 夫があとで一言、「ハンニバル・レクターの護送みたい。 プア・ユヅル・・・(可哀想な結弦・・)」と。 2012年にフィンランドで自由に色々話してくれた、あの羽生選手にはもうお目にかかれないだろう。そのぐらい本人も回りも用心しなくてはならなくなってしまった。



同じ有名選手でも、パトリック・チャン選手など、自由に一人で歩き回っているのである。 ラジオノワ選手も、GPFでは、近所のスーパーで買い物などしており、レジでは私たちのすぐ後ろで支払いをしていた。 そういう自由は、今の日本の選手にはないのではないだろうか。



興味が無いわけではないが、私たちはスター選手の入り待ちも出待ちもしたことがない。している人を批判するわけではないが、もうかなり有名になってしまった選手にとって、そういうファンはもはやありがたいというよりは、負担になっているのかもしれない、と思うことがある。 もちろんそんなことは、選手の口からは言えるわけもないが。


かつては有名になりたいと思っていた人でも、絶えず注目され続けることで疲弊し、「こんなはずじゃなかった」と思うこともあるのではないだろうか。 ちょっとした発言をメディアで取り上げられ、ソーシャルメディアで反復、増幅されて、大人が大騒ぎする。たったハタチ前後のまだ子供といってもいい年頃の彼らの発言である。




応援と、執着とはちがう。


ファン心理とは、ファナティック(狂気)と紙一重とはいえ、常軌を逸した執着のしかたは、きっと相手にとっても迷惑以外の何ものでもないだろう。


執着するあまりに周りのことが目に入らなくなったら、要注意である。 そしてそんなファンのとる行動は(ソーシャル・メディア上のケンカも含め)、案外自分が応援していると思い込んでいる人たちの迷惑になっている、ということには、おそらく気がついていないのだろう。



青嶋さんの記事を読み、何を楽しむにしても、心にゆとりを持ち、品格とスタイルを持って楽しみたいものだ、と改めて自戒の念もこめて思ったのである・・・。




(青嶋さん記事-1記事-2 、朝日新聞、WEB論座より)


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