ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
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太田選手は、フェンシング、フルーレで北京オリンピック個人銀メダル、そしてロンドンオリンピック、団体で銀メダルと2度のシルバー・メダリストである。

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少し前にオリンピック招致のことで記事にしたが、スイスのローザンヌからイギリスに旅行で立ち寄り、ロンドンでもオリンピック招致のためのトークをしたいという申し出があったため、本日、月曜日に実現した。

イベントまで10日しかないというショートノティスで、90名以上の申し込みがあり、太田選手は1時間のトークを写真や動画を交えて、実に生き生きと語った。トークの中でみせてくれたオリンピックの試合では、太田選手がドイツの選手から一本とって逆転、日本団体の銀メダルが決まったところで、観客から声援と大きな拍手が沸いた。

(動画はお借りしています)



トークは彼自身のオリンピックでの経験と東京オリンピックの招致のメッセージを最後に述べ、終わった。

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特に心に残ったコメントがあった。聴衆とのやりとりの部分で、「どうやって緊張やプレッシャーとたたかっているのか」という質問が出たときである。

フェンシングは、サッカーや野球と違い、たった一人で、しかも剣という武器を使って、まさに相手と対峙して、「切った」り、「突いた」りする、コンバット・スポーツである。一瞬の油断が実戦であれば命にかかわる、そんな激しいスポーツだ。また実戦でないにしても姿勢が少しゆるんだだけでも、首の後ろを切られたりするスポーツなのである。

ましてやオリンピックなどという重圧のかかる試合で、緊張したりプレッシャーを感じないわけがない。それといったいどう闘っているのか。18歳の時から3度オリンピックに出場し、2度の銀メダルを獲得した彼の答えがききたかった。

「僕は、プレッシャーには外部からのものと、内からのものと2種類あると思うんです。外部からのプレッシャーへの対応は簡単です。例えばメディアなどですが、これはシャットダウンしてしまうことができますから問題はありません。しかし、内から感じる緊張やプレッシャーはそういうわけにいきません。実は、僕は緊張した時の方が勝つことが多いんです。」と彼は始めた。

「プレッシャーを感じたり、緊張をしないわけがない。緊張をかえって力にして勝つことを覚えれば、緊張することは怖くありません。」なるほど、緊張をリジェクトするのでなく、緊張やプレッシャーまでも、自分の味方につけてしまう。緊張し始めたら「よーし、いいぞ!」と思えるぐらいに自分の心をコントロールできれば、怖いものなしである。

また、彼はスーパー・フェンシングという活動をしていて、全国の子供たちにフェンシングを教えて回っているという。そこで、「子供たちに教えることで、自分が学んだことは何か」という質問がでた。これに対して彼は「スポーツを楽しむ心です。僕はあるとき、スランプに落ちました。どうしても、どうしても、勝てなくなった。練習が楽しくなくなったのです。それでも頑張って練習しました。でも努力して練習している人は、楽しんでいる人に、絶対に勝つことはできない。子供たちを見ていると、僕のフェンシングをみてウワーっと喜ぶ。練習をものすごく楽しんでくれる。これが僕の学んだことです」と答えた。

スポーツの基本は、楽しむことだ、と彼は夕食会でも何度も言った。18歳からオリンピックにでて、様々な重圧に負けそうになり、一度はもう練習したくないとお父さんに訴えたそうである。「いくつの時ですか?」と私は聞いた。「21歳です。オヤジ、怒りましたよ…」と太田選手はいった。「でもオヤジは僕のゴハンからお弁当までつくってくれましたから」とっても感謝している、と言った。太田選手は、ゲーム機を買ってもらう代わりにフェンシングを始めたそうである。お父さんは、それでつって、太田選手をオリンピック選手にまで育てたのだ

年齢を聞いたら、27歳だそうである。なんだ、ウチの息子と違わない。自分の息子はいくつになってもダメ息子だが、ヨソ様の息子はしっかりしているなあ。

(トーク後、お客さんとレセプションで談笑する太田選手。英語もとっても上手。これなら、BBCのインタビューもOKである。)

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夕食会の席で、熱く日本のスポーツについて語っている太田選手は、そして2020年の東京オリンピックがいかに子供たちのスポーツ熱を高めるかに期待している太田選手は、さわやかな熱血青年であった。そして、私が感動したのはこれである。

「ボクは、ロンドンオリンピックの前の時点で、個人種目の銀が欲しいか、団体か、と聞かれたら、その時点では個人種目と答えたような気がするんです。でもチームのキャプテンになって責任も持たされ、自分のことだけ考えていられない状況になってしまった。チームの一人に、被災地出身の選手がいて、何が何でも彼のために、僕たちは彼の故郷にメダルを持って帰りたい、その気持ちで勝ったようなものです。僕はエゴイストではなくなってしまった。」

そこで私は「エゴイストでないと、個人戦には勝てないものですか」と意地悪く聞いた。

「はい」と即答が返って来た。そして「でも、ぼくはエゴイストでなくなった分、大人になったんです」と。

「今、僕は団体で勝てたことが凄く嬉しいんです。そして、それがこういったオリンピック招致のアンバサダーという役割をいただいたことにも繋がっている」と。

彼はオリンピックの報奨金をすべて、スーパー・フェンシングで教える子供たちのフェンシングの道具に使ったという。そして全国の学校をまわって、子供たちとふれあい、フェンシングというまだ日本人になじみの少ない競技のプロモーションをすすめているという。

ここにまた一人、まっすぐな心の持ち主がいた。親に手塩にかけて育てられた子供は、実にまっすぐに育つものである。

ロンドンの外に住む私は、まだ話の盛り上がる夕食会の会場を一足先に出た。では、お先に・・と言う私に、テーブルの向こうからさっと右手を出して、「ありがとうございました!またよろしくお願いします!」と大きな声で、まっすぐに目を見て握手をしてくれた太田選手はとってもかっこよかったのである。大ファンになっちゃった。

日本の若者も、捨てたもんじゃない、と大変に嬉しく思いながら帰路についた私である。

(ファンの皆さん、すみません。一緒に写真をとらせていただきました)

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(追記)
太田選手のトークはこちらで。(オリンピック招致には色々制約があるため、太田選手は用心してトークを日本語で行いました。が、彼の英語はおそらく通訳さんと同じぐらい、あるいはもっと上手だったかも知れません…。)

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