【タイトル】
ツイスターズ(原題:Twisters)
【概要】
2024年のアメリカ映画
上映時間は122分
【あらすじ】
竜巻を弱めようと無理をしたケイトは3人の仲間を失ってしまう。それから5年後。気象学者になったケイトは、軍で利用した機材を使って再び竜巻を追ってみないかと友人のハビに誘われて故郷のオクラホマに1週間限定で戻ることを決意する。
【スタッフ】
監督はリー・アイザック・チョン
音楽はベンジャミン・ウォルフィッシュ
撮影はダン・ミンデル
【キャスト】
デイジー・エドガー=ジョーンズ(ケイト)
グレン・パウエル(タイラー)
アンソニー・ラモス(ハビ)
モーラ・ティアニー(キャシー)
【感想】
ヤン・デ・ボン監督の「ツイスター(1996)」以来、28年ぶりとなる続編は、脚本家組合のストにより撮影が一時中断したことで製作費も1億2千万ドルから2億ドルに膨れ上がり、公開直前までポスプロの作業が行われていた。
過去のトラウマを抱える女性キャラクターの成長という意味では前作のヘレン・ハントが演じたジョーと同じで、彼女が着ていたのと同じような白のタンクトップ姿を本作のデイジー・エドガー=ジョーンズも披露している。
その前作からの進化は竜巻の調査から竜巻を止めることになっている点だろう。前作は竜巻の中に開発した道具を入れることで少しでも早く避難指示を出せるようにすることで被害を減らそうというのが目的だった。本作は発生した竜巻自体を消滅させようと奮闘する話になっている。これは前作よりも何をやっているのかが明確になったという意味で良かったと思う。
また、前作の主人公チームは一体どこからお金を得て活動しているのか見えなかったが、本作でのハビは企業からお金を出してもらっているし、タイラーはYouTuberとしてお金を稼いでいるという設定になっており、こちらも好印象だ。
ただ、ハビにお金を出す企業は竜巻によって被害を受けた土地を買い取る不動産業者のようで、その実態に気付いたケイトがハビから離れていくという展開になる。被害を受けた人たちから土地まで奪うという不動産業者が竜巻を止めようとするハビらにお金を出すメリットはあまりないように思うんだが、表向きに慈善事業をしているというアピールなんだろうか。
竜巻を弱めたり消滅させたりする理屈は終盤にかけてケイトの家の地下で二人が話し合う場面で話し合われるのだが、かなりあっさりしている。気象学者のケイトと独学で勉強しただけのタイラーがちょっと話し合っただけで解決してしまう。現実世界の何かと重ね合わせることはできなくもないが、こういう場面にこそキャラクターの苦悩が描かれるべきかな。
そして、クライマックスでは映画館が破壊されてしまうも、全壊には至らないという展開になる。これはコロナウイルス蔓延により映画界が大きなダメージを追ったことを思わせる。また、ケイトもタイラーも、それからハビもみんなが自分たちの研究や竜巻を消滅させるための行動ではなく人命救助を優先している。みんなが苦しんでいる時に金をむしり取ろうとする連中を対立する側に置いたのでより分かりやすい映画になった。
また、そこで上映されているのは古典の名作「フランケンシュタイン(1931)」だ。そうなれば竜巻こそ怪物であろう。最後の最後はケイトが誰の力も借りずに竜巻を消滅させることに成功する。ここでタイラーが映画館に釘付けにされるところも意図的だろう(一昔前の映画ならタイラーが真っ先に助けに来ただろう)。
そんな感じで感想を書いているとジョーダン・ピール監督の「NOPE/ノープ(2022)」を思い出した。本作の監督がリー・アイザック・チョンであり、彼の「ミナリ(2020)」に出演していたスティーヴン・ユアンが「NOPE/ノープ(2022)」にも出演していたな。こうして映画と映画が繋がるのは面白い。
ただ、本作は娯楽作としては突き抜けた印象はなく、大暴れする竜巻とは対照的に大人しめの映画という印象である。どのキャラクターも意外性は全くなく、ロンドンから来たという記者の男も配置意図こそ分かるが明らかに浮いていた。映画内の要素を現実世界の何かに落とし込むことはできても、パンチが足りなかった(4DXで見たらは印象変わるかもしれないが、風と水に晒されて大変そう)。
【関連作品】
「ツイスター(1996)」…シリーズ1作目
「ツイスターズ(2024)」…シリーズ2作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】