「ダメだ。

……どうしても欲しければ、取りに来い……。」


チョコレートを咥えている俺の口唇目掛けて顔を近づけてきたセツ。

お互いの口唇がギリギリ触れるか触れないかの部分をセツが齧ろうとしたのが分かった瞬間、俺はセツの腰を強く抱き寄せた。


(このまま齧ったら中身が溢れるっ!)


そう思った俺は抱き寄せたセツが下になるよう体勢を取りながら、チョコレート中のブランデーをセツの口内に流し込んだ。

このとき既に、口唇は…………。

ゴクン……と中身を飲み下したのを確認してから、今度は殻のチョコレートを噛み砕きながら、自身の舌と一緒にセツの口内へと差し入れた。

ちょっと待てよ……?

このシチュエーションは……

一瞬にして思い出してしまった、思い出したくもない光景に、黒い感情にとらわれそうになったが……


「…………んぅっ…………///」


セツの口唇から漏れた艶めいた声にそれは吹き飛んだ。

逆に……


(もっと聴きたい……)


不埒な欲に駆り立てられた俺は、まだチョコレートの味の残る舌を絡め合わせたままに、片手でもう一つチョコレートの包み紙を剥がし、素早く自分の口に含んでからもう一度同じことを繰り返した。


「…………っんん///…………ふぅっ///」


拙いながらも俺の舌の動きに徐々に応えようとしているセツに、胸の奥から愛しさが込み上げてくる。

次第に溶けたチョコレートとお互いの唾液が混ざり合い、どちらのものとも分からなくなる。
セツの身体の力はすっかりと抜け、俺の膝の上に腰を落として、俺が支える腕に完全に身を預けている。

どのくらいの時間そうしていただろうか……
すると、


「…………んんっ、…………ぃさ……、…………つぃ」


セツが何か言おうとしているのに気づいた俺は、ようやく口唇を解放した。


「ん?どうした……?セツ……」


セツの顔を見ると、とろんとした瞳は潤み、俺がむさぼり過ぎた口唇はぽってりと紅く膨らみ、頬は真っ赤に上気していた……。

…………なんて表情なんだ……。


「…………にいさ……、ぁつい…………」


「え?」


あつい?

俺は余りにも真っ赤なセツの頬に手を当ててみた。

……熱い。


「…………セツ、お前、酒に弱いのか……」


たった二個のチョコレートだが、中に入っていたブランデーはかなり度数の高いものだった。


「待ってろ、水を取ってくる。」


俺はセツをベッドサイドに座らせ、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。


「あつい……」


すると薄いジャケットを脱ぎ始めたセツ。
ピッタリと腕にフィットする皮のジャケットが上手く脱げないのか……


「脱がして……兄さん……」




⇒ 後編へ続く……♡

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焦らし焦らされハッピーバレンタインヽ(*´∀`)ノ♪

あれ?1話で終わるはずだったのがどうして……(笑)

でも出来たとこまで上げときまーす(* ̄∇ ̄*)