「バット・ビューティフル」や「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス」など、ボクの好きな曲をいくつも作っている作家コンビ、作詞のジョニー・バーク、作曲のジミー・ヴァン・ヒューゼンによる優しいナンバー「Like Someone In Love」は、1944年の映画のために書かれたものです。その頃日本は敗戦濃厚で、前年から禁止されていた“鬼畜米英”の1000曲余は聴くことも歌うこともできず、レコードも店頭から消えていたのでした。
ましてやこの新曲、しかもこの映画が上映されるハズはなく、戦後なってから入ってきた多くのアメリカ音楽の中の一つだったのでしょうか。
まずはソフィー・ミルマン。ボクはこの人のCDを買ったことがあるのですが、ちょっと感情移入過多でニガ手なシンガーでした。が、このYouTube歌唱は軽快で、スウィング感がとてもステキです。
検索しているうちに、いいパフォーマンスに出会いました。ストリングスペース-ジャズ・バンドというオーストラリアのプロの演奏家集団で、歌っているのはブリアナ・コーリシャウ。調べてみると2011年にアメリカに渡って制作したアルバム『When Fiction Comes To Life』をリリースしていました。その後オーストラリアに戻ってこのグループで活動しているようです。ボサノバやスタンダードを歌ったりしていますが、なかなかの実力派だと思い、ここにアップすることにしました。応援したいシンガーです。
クレジットは、Singer - Briana Cowlishaw | Drums - Alex | Guitar - PJ | Bass - Nathaniel | Sax - Jeremyだそうです。全員カッコいいですね。
今回の記事は異色な歌手を選んでみました。極め付けはアイスランドの妖精、ビヨーク。これがまたハープ伴奏のみなのです。ボクはこの人の歌唱を聴くと、悲しかった映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を思い出して暗い気持ちになるのです。
次は名人芸。フランク・シナトラの「Like Someone In Love」です。
この録音は November 6, 1953年。ボクの大好きなCapitolレコードから発売された10インチ・アルバム『Songs for Young Lovers』収録曲です。ボクが持っているのは、もう一枚の10インチ盤『Swing Easy』と合計16曲入りの12インチLP(記事トップの写真、マイコレクション)です。このキャピトル時代がシナトラのベストといわれるのも納得できますね。
サラ・ヴォーンの「ライク・サムワン・イン・ラヴ」も素晴らしいです。これは1958年のライヴ録音です。
異色どころはフランク・スタローンというシンガーが、ビッグ・バンド・アレンジの雄、サミー・ネスティコの編曲で歌っています。このアルバムが欲しいなぁ。名前が示すようにシルヴェスター・スタローンの弟サンです。ちょっと不安定なところに惹かれます。
この曲が作られたのは、映画『ユーコンの美女』(44)のためです。劇中ダイナ・ショアが歌っています。あの「ブルー・カナリア」の人です。
こんな素敵な歌をステキな歌手が歌う国と壮絶な最後を闘っていた日本。音楽を聴く余裕もなくなったわが国が辿った末路を想うと、あまりに悲しい名曲です。
