コール・ポーターは、いろんな国に行っているので、てっきるカリブ海のマルティニーク島まで行って曲想を思いついたのだとばかり思っていましたが、どうも違ったようです。

 

諸説あって、パリのクラブで踊りを観た説、インドネシアやフィジーへ行った時にイメージした説などありますが、確かなことは1935年10月からNYのインペリアル劇場でのミュージカル『ジュビリー』の中で、時の人気女優ジューン・ナイトが歌ったことです。

 

残念ながらジューン・ナイトが歌った音源は見つけられませんでした。この曲の特徴は、聴いているといつまでもメロディが展開し続けていることで、なんでも108小節もあるそうです。聴きながらカウントしてみてください。除夜の鐘ではありませんが、煩悩から解脱するのでは(笑)。


さて女性編。いかにもアメリカンな女性コーラスグループから始めたいと思います。

アンドリュー・シスターズで「ビギン・ザ・ビギン」作詞・作曲はコール・ポーター。

 

 


珍しやバカラックの申し子だとばかり思っていたディオンヌ・ワーウィックが、1993年にブラジルでのライヴで歌っています。結構クールでいいですね。 

 

 


やはりこれは聴いてもらわねば。前回の記事でもご紹介した大好きな映画『五線譜のラブレター』の中で、なんとシェリル・クロウが“マイナー・キー”にチェンジして歌っています。誰のアイディアと編曲かはわかりませんが、別の曲のように聴こえるところも興味津々です。

 

 


この歌の王道的歌唱といえば、エラ・フィッツジェラルドでしょうか。堂々たるエラ。素晴らしい。

 

 

珍しくこんなテレビ番組のライブ動画を見つけました。1959年にダイナ・ショアがアンドレ・プレヴィンのピアノをバックに歌っている「ビギン・ザ・ビギン」はスウィンギーでナイス。3分あたりから別の曲「エイプリル・イン・パリス」になりますが、なんとを珍しくヴァースから歌うダイナ・ショア。いいですねぇ。「ブルーカナリー」だけじゃないことが分かります。歌唱力半端ない。

 

 


女性歌手のシンガリは、はこれまた珍しや越路吹雪が1951年の映画『結婚行進曲』(だそうです)の劇中にステージでこの曲を歌い、踊るシーンが見つかりました。1924年のお生まれですから、この頃は26~7歳でしょうか。妖艶で魅力的です。感激しました。

 

 


最後を飾るのは、華麗なるダンスの饗宴。

フレッド・アステアとエリノア・パウエル主演で1940年に公開された映画『踊るニュウ・ヨーク(原題;Broadway Melody)』です。無音の箇所のタップ・ダンスには、しびれます。

 

 


こんな素晴らしい曲を創作したコール・ポーターは、今もアメリカやヨーロッパの現役ミュージシャンに愛され続けている理由が分かりますね。