前回とりあげた「クライ・ミー・ア・リヴァー」を“梅雨のころにふさわしい”とコメントした責任をとって、今日は「あの雨の日が」(この邦題はほとんど使われていない)でリカバーを試みます。

だって、男が川のようにおお泣きする歌に“季語”はありませんから。もちろん「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」も、雨歌のおなじみ「雨の日と月曜日は」同様、季節を歌ったものではありません。まずは雨にまつわる隠れた名曲ということで・・・。

 【⇒過去ブログ「カーペンターズ」】

この曲は、あるミュージカルのために作られ歌われましたが、あまりに地味で知られざる名曲で留まっていたところ、6年後、フランク・シナトラが録音して一躍評価されるようになったそうです。

ジョニー・バーク作詞、ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲(1953年)、そのミュージカル『カーニヴァル・イン・フランダース』の映像はYouTubeにはありましたが、別の曲がアップされています。(この作曲家名は、後日ネタに続きますので覚えておいてくださいね)

シナトラがしみじみとこの曲を取り上げたのが1959年。

Here's That Rainy Day/Frank Sinatra



数あるシナトラ・オン・YouTubeでも、動画はなく唯一この1ヴァージョンのみ。やはり地味~な曲の極めつけなんでしょうね。

さて過去のレコードでこの曲の名演奏はいっぱいあります。まずはギターの名手、バーニー・ケッセルのグループで。

Barney Kessel- "Here's that Rainy Day



最初はバーニーのギターソロ、後半のバンドとのやりとりはとてもスリリング。さすが“チャーリー・クリスチャンの継承者”と自称するだけのことがあります。


次は、内省派(ボクの勝手なネーミングですが)の代表、ビル・エヴァンスの内省的なピアノ・ソロで。

Here's That Rainy Day / Bill Evans - piano solo



はなはだ残念に思うのは、YouTubeにはボクが長年愛聴してきたこの隠れた名曲の隠れた“三大名歌唱”がいずれもアップされていないことです

popfreakが長年愛聴してきたこれらのアルバムは、ぜひお買い上げ願いたいものです(といってもボクはアマゾンのアフィリエイトなどではございません)。

1枚目は、オランダのジャズ・シンガー、アン・バートンのアルバムから。

$♪blowin' in the music Ballad and Burton

なおこれはアマゾンで試聴することができます。

彼女はすでに20年ほど前に50歳代半ばで亡くなっています。日本に来たことがあって、コンサートでしみじみした記憶があります。
この人の歌唱の味わいは、いつかご紹介したいと思っています。

2枚目のオススメは、オスカー・ピーターソンがThe Singers Unlimitedと一緒に録音したアルバムから。

The Singers Unlimited and Oscar Peterson from the album " IN TUNE"

$♪blowin' in the music IN TUNEのジャケット

このグループについては、過去ブログでしつこく紹介している通り、しみじみと心に沁みます。

 【⇒過去ブログ「ザ・シンガーズ・アンリミテッド」】

とりわけ派手な演奏スタイルのピーターソンが、かれら(本来はアカペラ・コーラス・グループ)の持ち味を生かすためにソフトな演奏に終始していることも特筆に値します。

3枚目は、かのサミー・デヴィスJRがギターの名手、ローリンド・アルメイダのガット・ギター一本をバックにしみじみ全曲歌った“隠れた名盤”『サミーとギター』(通称)から。

「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」は冒頭の1曲目に収録されています。

Sammy Davis JR. sings, Laurindo Almeida plays

$♪blowin' in the music サミーとギター

ずいぶん昔のことですが、たまたま輸入盤屋さんで見つけて買ったところ、あまりにすばらしく、擦り切れるほど聴きました。夜のしじまにピッタリなのです。

そして長くCD発売を心待ちにしていましたが、その夢がかなったのはホンの10年ほど前のこと。

しかしオリジナル・レーベル、リプリーズからの発売ではなく、インディ・レーベルからだったせいか、初CDより長年聴いてきたLPのほうの音が断然よかったことが、いまだに引っかかっています。

さて雨のうた「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」はいかがだったでしょう?

こんな地味な歌を取り上げるせいか、ボクのブログも一向に人気が上がりませんが、メゲずに続けていきます。(笑)