型月のなく頃に | 西森大学文芸部

型月のなく頃に

大学の空き時間は暇だな。2時間も何しろってんだ。
「あっ、たかゆき!」
あいつは高橋だ。彼は多少趣味に思い入れが強すぎるところがある。いくら暇とはいっても一方的に話し続けられるのはごめんだから話が長くなりそうだったら逃げよう。
「例の殺人事件のニュース見たか?」
「ああ、尊属殺人のやつか。最近多いよなあ。なんだいきなりそんな物騒な話持ち出して」
「ひぐらしがニュースに何回も取り上げられてうんざりなんだよ!ひぐらしは友情をもとに描かれた・・・」
またはじまった。
「へえ・・・、そうなんだ・・・。でも影響を与えてる可能性があるなら因果関係をはっきりさせないとな。」
「だあかあらあ!ひぐらしがグロテスクな側面を持っててもそれを超えたレベルで心を動かされた人たち・・・」
「ああ次授業だ!ごめん高橋!」
「そうか。とにかく話題を振り回すメディアに流されるなよ!俺はつまるところそれが言いたかった。」
でも正直その言い訳はあんま説得力ないよなあ・・・。
何か疲れた。もう帰る。
で、家に帰ってニュースを見ると政治家が新しい法案を作ったらしい。政治家がスピーチをしていた。
『・・・ですから、そういう類の創作物の重大犯罪への関連性が認められる限り、我々全員は多少の痛みを払わなければなりません』
は?
『あらゆる創作物において、あまりに攻撃的な描写または表現が認められた場合、それらの出版活動は一度政府を通すことを義務とします』
ちょっと待て、それはおかしいだろ。
『山森議員のスピーチでした。われわれの調査によると国民の5割はこの法案に賛成、あと4割は興味ないからどうでもいいそうです。』
本当かそれ?
『これで悲しい出来事が一つでも減るといいですね。では次のニュースです』
これはお前らマスコミにも大いに関係あるんだぞ?それでいいのか?
『次は琵琶湖に突然現れたくじらのシガちゃんです。』
テレビとかもうどうでもいいや。寝る。


次の日学校に行くと白いフード被ってる連中が密談をしていた、学校のベンチで。お化けのコスプレか?今日ハロウィンじゃないぞ?
あれは・・・高橋じゃないか?