今日から本屋でバイト。
初めてだからよくわかないけど、まあ常識的に考えて、大丈夫だろう本屋だし。


なんて思っていた僕を嘲笑うかの如く先輩
「はいこれ。」
渡された一枚の紙切れ。
そこに書かれたるものは
「店内の書物(タイトル)の配置図!?」
「そ。うちじゃあ、これを覚えるのが新入りの仕事。」
「・・・これをいつまでに!?」
「さあな。だが、これを覚えるまではお前、給料ゼロな。」




というわけだ。
僕はアルバイトに来て早々、紙切れと睨めっこするハメになってしまったようだ。
「ちなみに先輩は覚えてるんですか?」
聞いてみる。
「ふざけたことを抜かしやがれってんだこの畜生が!」
口悪っ!
「俺ぁ店内配置だけでなく、書庫にある在庫数、さらにはお客様の顔からその人の本の趣味まで覚えてる。」
その言葉が僕を驚かせた。
こんな本屋にこんな熱い人がいるなんて。
「ど、どうしてそこまで・・・」
「甘いな、新入り君。今や出版業界は氷河期を迎えようとしている。最近じゃあ、情報は全てネットですぐ獲得できるからな。しかし!しかしだ!それでいいと思うか!?新入り君!!!」
「いや・・まあ・・だめかと」
「それじゃあ俺達に何ができる!?お客様に気分よく本を買ってもらうことだろう!?なあ!そうとは思わんか!!!?」


という具合だ。
これから大丈夫だろうか。