統合失調症を発症した実在の数学者、ジョン・ナッシュの生涯を大学院時代から描いた作品。
臨床心理士は患者と接する時、受容と共感の態度を心がけるそうです。
相手の言葉を受け入れ(否定せず)、出来る限りその状況をリアルに想像し、例えば自殺未遂までいった患者ならその自殺という結果は認めてはならないが、最大限行為に至るまでの苦しみに共感する。
心の病気に向き合うには想像力がとても大事なんだと、上記のような説明がった本を読み感じました。
作中アリシアがナッシュに、あなたの行為は全て幻だと証拠をつきつけたシーン。医師が自分が大切にしていたものが幻だった時の衝撃と言っていたが、どんなに異常に見えても、その衝撃を受けるのは健康な人と変わらな人の心なんだと思います。
精神に病んでる人を見て、その気分の浮き沈みやどうしようもなく動かない体から理解を放棄することは多いと思います。でも感じ方、痛みの過多、そういったものまで病気に押し付けて異人種のように扱い、思いやりや想像力をなくすのは間違っていると思います。
自分たちの子をあわや溺死の危機に晒した夫の、危害を加えるか分からないという正直な言葉と共に言われた「もう少し時間をくれこの問題も解いてみせるから」(うろ覚え)。
妻はその言葉に夫の手で自らを触れさせ、ついていくと答えました。
想像ではなく身をもって、それがどれだけ困難か理解していながらアリシアはこたえました。
先の繰り返しになりますが、自分も自殺企図から三か月間精神病棟に収容され、多少なりとも他の患者と言葉を交わした経験のなか、心を病んだ人を理解できないものとして扱っていたそれまでの自分を大きく反省しました
ですが患者側の気持ちは少しでも分かっても、自分の両親含め、家族や支える側の気持ちはうまく想像できませんでした。
映画という短い時間ながら患者と向き合うことで支える側の苦しさを千分の一でも分かったとき、夫についていくことという決意がどれほそのものか。
心の病には患者の数だけ事例があり、それを類型し画一的な治療を施すのは難しいと聞きます。心の病を理解しようとするとき知識はもちろんのこと、こういった物語は大きな助けになるのではないかと思います。一生に一度は見るべき映画という評価はこんな作品にこそふさわしいと思います。
