写真家木村伊兵衛と言えば、思い浮かぶのはモノクロのスナップショット。秋田おばこ、市井の人々。

 

 しかし今回は、題名通り、カラー写真でパリで撮影されたものたち。

 これは1954~55年に日本人として戦後初めて欧州取材の際に撮影。開発されて間もない国産カラーフィルムを愛用の小型ライカに入れて。

 

 アンリ・カルティエ・ブレッソン、ロベール・ドアノーらとも親しく交流し。その案内で訪れたパリの写真達は、カラフルでお洒落です。時代的にもヘップバーンの映画のようでした。

 

 併せて展示されていた、パリに滞在した日本人留学生達の作品展示も興味深かった。

 澤部清五郎・藤田嗣治・岡田謙三・辻永・青山義雄・大橋了介・山口薫・荒井龍男・角浩・矢橋六郎・高畠達四郎・猪熊弦一郎・山尾薫明・荻須高徳・野見山曉治・浜口陽三・小川千甕・近藤吾朗・井手宣通(展示リスト順)概ね戦前から1959年代まで。

 

 有名な方、初めて見た名前…それぞれの作品はみんな、「大志を抱いた留学中の日本人」の描いた、パリ。

 

 「有名な画家の有名な作品」を見るのもいいですが、こうした「画家」達の残した作品を、丁寧に見ていくのも大変楽しかった。

 いい企画でした。