【原則】

マンションは通常の形として、建物を複数の区分所有者で共有し、その建物の敷地もまた敷地利用権を共有する。この場合、原則として、この敷地利用権と専有部分を分離して処分することができない。この原則は、法定敷地・規約敷地のどちらにも当てはまる。

具体的には、敷地利用権または専有部分の片方のみの、売却・贈与・差押え・競売・質権あるいは抵当権の設定はできない。

この禁止事項に反して、勝手に敷地利用権か専有部分のどちらか片方のみを処分した場合、その処分は無効となる。

※処分の無効(分離処分の禁止)は、善意の第三者に対抗することができない

<例>区分所有者Aが未登記で共有する敷地利用権を、その事実を知らされていないBに売却した。その事実を知った区分所有者Cが敷地利用権の返却をBに求めたが、Bは拒否して、その拒否にCは対抗できない。

 

参考>>共用部分の持分の処分

 

【禁止されない分離処分】

原則は上記だが、以下については分離処分が可能。

・「専有部分と敷地利用権を分離して処分できる」という規約の設定があると「規約で別段の定め」があるケースになり、処分可能になる。

※規約設定は集会決議(特別決議)による設定以外に、最初に専有部分を全部所有する者が公正証書による設定することも可能(この設定を後の区分所有者たちによって規約変更することも当然可能)

 

 

他に

・敷地のみに借地権(賃借権)の設定は可能

・敷地の地下に区分地上権の設定は可能

・取得時効

・敷地利用権が賃借権の時、その賃借権契約の解除

・敷地利用権が賃借権の時、専有部分のみの抵当権の設定

※法律上または性質上、そもそも専有部分と敷地利用権を一体的に処分することができない場合

 

一つの建物を複数の区分所有者が共有しているが、平屋で、それぞれの区分所有を区画する壁心ラインに沿って敷地利用権を共有ではなく分割して所有する(分有している)状態の時、上記の禁止事項は適用されない。

 

敷地利用権の分離処分の禁止 = 敷地利用権の共有