【占有者が義務違反者の場合】

マンション管理士の出題に関し、占有者の呼び方を変えてくるので、整理する。

占有者 → 賃借人、転借人、使用借主

区分所有者 → 賃貸人、貸主

※「居住者」は、どちらにも該当する可能性があるので、このワードだけでは判断できない

 

ここでは義務違反をする占有者を「クソ占有者」と呼称する。

さらに義務違反する区分所有者を「クソ区分所有者」と呼称する。

 

区分所有者たちがこのクソ占有者と戦うには以下の方法がある。

行為の停止等の請求

引渡し請求

 

ちなみに「使用禁止の請求」「競売の請求」という戦い方は、区分所有者に対する方法で、クソ占有者にはできないというか所有していないので意味がないので注意。

 

【行為の停止等の請求】

まず「行為の停止等」が具体的にどういう行為に対するものかイメージしやすくする。

・著しい悪臭や騒音を生じさせる

・専有部分に危険物を置く

・共用部分に私物を置き、他の区分所有者の使用を妨げる

・外壁に勝手に穴を開ける  などなど

このようなクソ迷惑行為はいますぐやめさせたいってなる。そこで「行為の停止等の請求」になるわけだが、どうすればいいのか触れていく。

 

区分所有者に対しても含めて、他にいくつか方法を上記に挙げたが、決議が不要でできる唯一の方法が「行為の停止等の請求」になる。

・区分所有者単独・あるいは管理者だけで、直接クソ占有者に決議なしで行為の停止を求められる

普通決議で「行為の停止等の請求」訴訟の提起をできる

 

決議なしで行為停止等を請求する場合でも、規約で「決議なしではできない」などがある場合は、規約に従う。

 

【引渡し請求】

「引渡し請求」は占有者にとってかなり重い請求になるので、これをやるには必要条件がある。

・特別決議が必要

・「区分所有者の共同の利益に反する行為」または「その行為をするおそれがある」程度では不十分。「その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の行為によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難である」ことが必要。逆に言えば、「行為の停止等」程度で済むなら「引渡し請求」するなよって話。だって「引渡し請求」が決議され、訴訟を起こし、確定されれば、占有者は今住んでるところから強制的に追い出されるんだから。

この条件はクソ区分所有者への「使用禁止の請求」「競売の請求」にも当てはまる。逆に言えば、「行為の停止等の請求」以外は全てこの条件と覚える。

 

さらに、特別決議をするためには、決議する前にクソ占有者に集会において、弁明の機会を与えなければならない。これは義務。

 

ちなみに当たり前の話だが念の為に、引渡しされるのは、訴えた区分所有者や管理者ではなく、占有者に貸していた貸主(区分所有者)。ひっかけでよく出題されるので、注意。

 

あともう一つ。

引渡し請求を訴訟する場合の被告

  → 占有者と貸主

契約解除してクソ占有者から貸主に引渡しされるための請求になるので、契約の双方が被告になる。

この部分を深掘りすると、区分所有者AからBに貸しているが、そのBがCへさらに貸している場合、Bは転貸人でCは転借人となり、Cがクソ占有者であるので、被告となるのは転貸人Bと転借人Cで、区分所有者Aは被告にならないので注意。

 

この【引渡し請求】のさまざまな条件や注意点は、クソ区分所有者に対する「使用禁止の請求」「競売の請求」と全く同じなので、この三つの戦法は共通認識し、最終的な結果だけそれぞれの形になると覚える。