ガシラ(かさご)

 

姫鯛

 

ヒシダイ

 

O君が持ってきた魚は今回三種+1(写真なし)。

「大王から帰ってきたとこや」

オコゼは無知な私の為に危険な背びれを綺麗にハサミで切ってくれてあった。

いや、知っていますよ小指くらいの子供オコゼをつかんでしまって二日間片腕が腫れ上がった痛い経験をしましたから。

あのオコゼ君と比べたら今天ぷら鍋の中で無毒化されつつある親オコゼは全身が腫れ上がるような大きさだよ(そんなことはないやろ)

オコゼの唐揚げが出来上がる前に缶ビールをプシュッとやる。

これらの魚は深い海の底にいる。

よって釣り上げるのはなかなか骨が折れるが、近頃は電気エネルギーが引き上げてきてくれる。

水圧の変化で目玉が飛び出てくるのでおどけた表情に見えるが、世を儚んでいるのが事実だ。

生まれてから今朝まで、より大きな食物連鎖達に怯えつつも精一杯生き延びて来た人生が一瞬の判断ミスで終わってしまったのだから。

しかし非情にも非常に美味い。

ガシラ他三種は根魚料理の王道とも言える煮付けにする。

煮付けにすると味は大体似通ったものになり、その食感のみで個人の特性を主張することになる。

今回手こずらせてくれたのがヒシダイで、恐ろしく鱗の性能が高いことを知った。

細かい鱗なのになかなか禿げ?(剥げ)ない。

自然が作り出した最強の鎧のようだ。

こいつはいったいどんな凶暴な敵と向かい合っていたというのだ。

この魚の鱗の性能を良く知っていたなら戦国武将達は重い鎧を脱ぎ捨ててヒシダイを全身に貼り付けただろう。

私はその性能を思い知らされた。

硬くて取り残した鱗は煮付けて高温に晒された後でも防御力をまったく失っていなかった。

「要は食感はジャリジャリしていたということなのね」ハハハ