原発立地住民の意識改革を引き起こすのは電力会社にとって重要なことです。

行政や漁協への工作に行き詰まると個人への説得に重きを置き始めます。

本来先にそう有るべきなのです。

首長や議会、漁協の立場は民意を反映したものであるはずですから。

電力会社は立地周辺の自治体にも働きかけて包囲網を作ろうとします。

地元に有る商工会など既存組織を利用して学習会や講演会を催したり、

芦浜の場合は一足先に実現した浜岡原発への見学バスツアーに招待したりしていました。

費用は全て電力会社持ちですから暇つぶしにはもってこいだったでしょう。

後にこの村で最初に太陽光発電を始めた従兄弟も暇つぶしツアーのバスに乗っていました。

その従兄弟がバスツアーから帰ってきて、近所に原発の必要性を説いて回っていたのだと聞きました、一時の気の迷いだったなあと今は言っていますが。

物事の道理の分かった利口な従兄弟なのですが、そんな彼であっても洗脳されてしまうことは有るのです、私も自分の脳に絶対的な信頼性は持っていませんから。

ともかく電力会社にとってはそれほど住民洗脳は力の入った必須科目であったようです。

もちろん大方の住民の興味は昼の弁当やお土産についてであり、放射能という目に見えぬ驚異についてや水爆と水素爆発の違いについては何も学習されなかったのです。

今はバスに乗っていった人達の孫の時代に成っているのですが、やはり興味は弁当やおみやげに向いているようで、遺伝子なんでしょうね貧しい村の。

ふと、便所の雑巾に目をやるとそんな足跡が今でもこの村に薄っすらと残っているんです。