良平はまず、町内のコミュニティ掲示板、地元の主婦会のLINEグループ、そしてジム内の会話を手がかりにデマの追跡調査を始めた。
いくつかの情報をつなぎ合わせていくと、「噂の起点」は、ある美容室の常連客たちの中にあると突き止める。
その中心にいたのは、春江のかつての生徒の母親であり大久保修一の遠縁にあたる佐野千鶴子という女性だった。
彼女は修一の落選後、「町の品格を守る」という名目で、春江のような「浮いた存在」に悪意を向けていた。
「春江さんってちょっと変わってるじゃないですか?、目立ちすぎてて、何か秘密があるって思われても仕方ないのよ」
その言葉に良平は怒りを抑えきれなかった。
「それはあなたの妬みじゃないですか、人の人生を傷つけて何が品格だ!」
「あなたがどう思おうと勝手だがデマを振り撒いて人を傷つけたら犯罪ですよ」
千鶴子は目を見開き、その場で言葉を失った。