中学の同級生が当時の教師を批判する。

新任で田舎の学校に配属されてきた。

伊勢弁でしゃべる子供達を相手にしていて次第に意欲を無くしていった。

「君たちの言葉は標準語からかけ離れていて先生には解りませんから矯正した方が良いと思います」

先生、僕らの言葉は標準語だと思うニャア。

先生の言葉も解るジョ。

そやニャア。

そやジョ。

先生はやがて授業中に愚痴を言い出すようになったらしい。

「先生は言葉も解らなくてどうすれば良いのかわかりません」

「給金も安いし遊ぶところも無いこんな山奥で僕は何をやっているんだろうね」

毎日そんな愚痴を聞かされていたそうだ。

同級生はそのことが忘れられなくてぢぢいになった今でも、

「あいつは最低の人間やったな」と言う。

「お前も毎日聞かされとったんやで」

サッパリ覚えていない。

「窓から山のススキでも見とったんかい」

たぶんそうだと思う。