ジムは再び町民たちの憩いの場として落ち着きを取り戻していた。

「ありがとう、石田さん。あなたのおかげで助かったわ。」

春江が微笑むと、良平は照れくさそうに笑った。

「いえいえ、僕はたまたま巻き込まれただけで……。」

「でも、おかげで私たちはこの場所を守れたの。これからも一緒に頑張りましょうね!」

「えっ、そ、それは、少々困ったりするかも。何を頑張るんだろう。」

良平はこの町での新しい生活に少しずつ充実感を覚え始めていた。

が、この小さなジムという空間にもいろいろな思惑が交差し合い、複雑な人間模様が見えた。

何か町が抱える問題の縮図があるような予感がしたが、やがてそれも見えてくるだろう。

ジムの扉を開けると、春江たちの元気な声が今日も響いている。

「今日も活動中でしたか~」

春江たちは良平に混ざってこいと誘ってくるが、

運動嫌いの良平はいつものようにランニングマシンでチンタラ歩くのだった。

 

事件の背景は次回に