息子が自動車関連の企業に就職したとき私はこう思った。

「ああ、将来の斜陽産業に進んでしまったか」

私は若い頃から車は好きだったが、今は車に何も魅力も感じなくなった。

それどころか自動車が及ぼす害悪の方が気になっている。

人の移動に1トンもの鉄の塊を連れ回すなんて、エネルギーの無駄であり不合理極まりない。

都市部では自動車に占拠されてしまった空間が人を押し除けている。

「邪魔でかなわんがや」

生活圏であれば自転車で十分だろう、遠くならバスや電車で行けばよい。

自動車を作って地球の寿命を縮めている大企業はもちろん、車社会を肯定しているような世間の風潮にも嫌悪している。

原始人が発見した車輪がこれほどに繁殖してしまい未だに絶滅する気配もない。

職場では「まあ見てなさい、10年もしたら自動車は消えているから」と言い続けてきた。

妻にもそんなことを言ってきた、車に頼っていた妻から良く「アンタも時々使っとるやんか」と反撃を食らったが。

ところが10年経っても一向に自動車は無くならず、さらに10年経った現在もまだ自動車は健康に存在しているではないか。

どうしたことだこれは?

私の予想が間違っていたのか。

予想外れは私のライフワークのエネルギー問題でも。

あれほど多くの人々が反省し懺悔して封じ込めたはずの原発タケノコがまたぞろ頭をもたげてきたではないか。

政府は原発回帰を宣言してしまった。

10年後に日本はそれを後悔することになると私は予想する。

 

 今私が暮らしている田舎町の広大な山林をト●タが所有し管理し出してもうずいぶんと経つ。

当初私は「自動車作って地球の寿命を縮めている企業の罪滅ぼしかいな」と思っていた。

そして、今でもそう思ってはいるのだが、

今までの罪は帳消しにはならないとも思っている。

排出量取引やら社会貢献とかに詳しくないけれど、

キッパリ「車作るのやめます」っていうのが最も地球のためになる、一流企業たるものの良識だと思うんだけどな。

何十万もの従業員や家族が路頭に迷うやんかって?

知らんがな、地球の方が大事やろが、自己責任でもあるしね。

原発にいたっては又地震が来たら終わってしまうんだよ、日本が。

地震来るでしょう、来ないの?

10年先ではないかも知れないけどね。

その先の10年で来るでしょう、来ないの?

その先・・・

ねっ、結局は来るでしょう。

終わっちゃうの日本は。

このままではね。

 

 近所のSさんの息子さんはト●タで講師をしているのだが、今度会ったらいつ自動車作るのをやめるのか聞いてみようと思う。

なるべく早くやめてと言っておこう。

空飛ぶ自動車なんかが出始めるみたいだが、Sさんとその話をしてたら、

「そんなもんが飛んできたらやかましくてかなわんがや」って

この人は良く分かってるわ。

 

 息子は会社をやめて田舎で草団子を作ってる。

身分がどうなったのかは知らんが地球には優しそうである。

分かってきたじゃないか。