田舎の家から直線距離で18kmの海岸に、かつて原発計画がありました。

芦浜原発です。

芦浜の原発計画は私が小学校に入学した頃から始まり、国と電力会社による推進勢力とそれに反対する勢力が抗争を繰り返し、地域住民は金まみれの立地工作によって家族までが分断され、骨肉の争いとなってしまいました。

余りにも長期の泥沼抗争に終止符を打たせたのは、時の知事の白紙撤回宣言ではなく、計画地の漁村に嫁いでいた反対派女性達の強固な意志だったのです。

そして現在、私は近くの山の頂に登って見渡しても、18km先に原発建屋を見ることはないのです。

もし、漁師町に嫁いできた嫁さん達が、その連れ合いのように日和見で弱かったなら、危ない本性を隠す白い建造物は手に取るように、そして大津波が来る背後の熊野灘の海に比べると余りにもひ弱に見えていたことでしょう。

今も用地は電力会社が握っていますから計画は無くなったわけではありません。

でも今の情勢で新規の原発は出来ないでしょう。

今ある原発も廃炉が懸命だと思いますが国民が危険性を容認するなら稼働も致し方ないでしょう。

この地では日本最大級の風力発電所計画が進行しています、反対する意見も聞きますが根拠は希薄です。

休眠農地は太陽光パネルで覆い尽くされ、需要を大幅に超えています。

高齢化の進む過疎の鄙びた山村ですが、大きな心配事は無いのです。

地震以外には。