午後の運動に山へ。

チェンソーは持っていかない。

小径木の伐採なのでノコギリと鉈で事足りる。

ノコギリはブレードを替えたばかりなので切れ味はすこぶる良い。

 

鉈は田舎の伝家の宝刀、脳天一撃で熊をも倒す。

 

順調に雑木の伐採を進めていて少し調子に乗っていたのだろう。

大き過ぎるか?とも思ったが径10cmほどの咲き終わった椿の木を切っていた。

立って力を入れやすいように地上1.2mの高さで切った。

木は切られると自身の質量により重心方向にゆっくり倒れてくれる・・・普通は。

しかし、この椿は幹を切られても倒れなかった。

周りの木に支えられて直立したままであった。

そこで力任せに切り口をずらして倒そうとした。

ところが木は倒れずにストンと真下に落ちてきた。

1.2mの高さからストンと地上に落ちてきた。

切った幹が地上に着地する瞬間と一番下に生えていた枝が私の脳天を一撃するのは同時だった。

この大きな椿の木は重力で落下するとき貯め込んだ位置エネルギーをすべて私の脳天に放出した。

私は光を見た。

たぶん、トニーがギブスに頭をたたかれる100万倍くらいの威力だ。

視界は明るく輝き、脳内で何本かの血管がぶち切れる実感があり、耳鳴りはいつもより1オクターブ上がった。

カラスが「バカー、バカー」と鳴いていた。

「おいカラス、キョエちゃんの彼氏は東京都に駆除されたんだぞ~、お前も駆除したろか」。

どうもそれから頭の調子が良い。

 

家に帰ると、出掛けるときには咲いてなかったツツジが咲いているではないか?

綺麗だ。

 

花子、「脳神経外科か精神科の、どちらかね」。