台風でべったり倒れた稲は起こさず放っておくそうだ。

現在の稲刈り機は倒れた稲穂も上手にすくい取って刈り取ってくれる優れもののようだ。

それより重要なことは稲刈り迄に猿やイノシシに稲が喰われるのを防ぐことであるらしい。

そこで今日はHさんの電気柵設置のお手伝いをした。

田んぼをグルッと電線で囲み1万ボルトの電圧をかけておく。

完成後に電線に誤って触れたらビリっときた、結構強力だね。

通電注意の札をかけておくんだが、子供なんかにはチョット刺激が強くて危ないような気がした。

一反で8俵くらいの収穫を予定しているが電気柵設置に数万円喰われるからマイナス1俵。

好きに喰わしてやった方が採算面では得に思うが農家は銭勘定なんてことに囚われてない。

憎っくき害獣たちに米一粒たりとて喰われたくは無いという心情なのだ。

炎天下で2時間程働くと全身びっしょり汗だくになる。

シャワーでさっぱりしてから後はもう冷房の効いた部屋から出なかった。

夏場の農作業は2〜3時間に留めておかないと身が危険だね。

Hさんにトラクターっていくらくらいするん?って聞いたら2〜3百万って言ってニヤリ。

あっ、勘違いしないで、僕には米作りは出来んでね。

Hさんところには米作りについて教えを聞きに来る人が多い。

今日も作業中通りかかった人がHさんに質問をしてきて、この人、米作りに熱心な特異な人であった、私は聞いていても内容がさっぱり理解できなかったのだが。

今後の天気から予測した稲刈り日程や、周囲の稲の育ち具合、稲の倒れ具合、稲穂の状態、土の乾燥具合から、遡っては苗から薬に至るまで、本当に生き生きとして質問をしてくる、珍しく米作りに情熱を持った人であった。

こんな人が居るのか〜。

何故か羨ましかった。

僕は違うからね。