前回私は学習をした。

大げさでなく農業は命がけなんだと。

草刈り機についてAさんはこんな昔話をしてくれた。

この危険極まりない農機具が世に出回り始めた頃の話である。

当時村でリーダー的地位にあったMさんがスーパーカブに乗って山から急ぎ降りてきた。

スーパーカブのハンドルには血に染まった軍手がゆらゆら揺れていた。

そうです、ご想像の通り、軍手の中身は草刈り機で切断された手指。

Mさんは誤って切断してしまった指を気丈にも拾い集めて、スーパーカブで病院に走っていった。

が、指は戻らなかった。

一般に草刈りは夏場に行うことが多い。

田んぼの畦や土手は夏場に4~5回も草刈りをする。

一巡刈り終わった頃にはもう最初に刈り取った所で草が伸びている。

いわば夏中草刈りに追われているのが山間地の農家である。

Mさんが拾い集めた指は傷んでくっつかず、夏草のようには伸びてもこなかった。

自身の不手際だからMさんは好きなお酒の猪口を持つ時に少々不便で苦い思いをするだけで済んだが、

もし他人を傷つけてしまったなら一生悔いが残っただろう。

高速回転する超硬チップの刃はとても危険である、田舎ののどかな草刈り風景だと思ったら大間違い。

こんな危険なものが一家に一台は必ず有って70代80代の老人が毎日振り回しているのだから恐ろしい。

 

そして今日、ゆでぶしん第2回。

私は前回危ないを体験をしたので刃を超硬チップからナイロンひもに替えてある。

暑い中、老齢ばかりの村人が生い茂った草をやっつけたのである。

暑さで、もう、皆死に物狂いだ。

朦朧とした中で人の足下に刃を走らせることもあった。

ナイロンひもは具合が宜しい、誤って人に当てても血を噴く修羅場にはならない。

このナイロン刃を発明した人は草刈り作業に革命を起こし外科医の仕事を奪ったようだ。

しかしまだまだ超硬チップソーの切れ味や耐久性にほれ込んでいる人も多い。

なるべくね、

人から離れて接近しないことだね、凶器を振り回してるんだからね。

又、少し学習をした。