軽トラが走る田園風景をのどかなものだと感じる人が多いことだろう。
しかし、私にとって軽トラの走り回る音は感じ方が違うのだ。
軽トラはむやみやたらに走っているわけではない。
当たり前だが何かしらの農作業に走り回っているのである。
軽トラは走る度に何らかの成果を出しているのだ。
農家の朝は早い、早朝5時に軽トラの音で憂鬱に目覚める。
軽トラの主はその1時間前には起きて朝飯を食べ雲古をして準備万端農作業に向う訳だ。
私はそんな働き者の軽トラの音に怯えを覚えだした。
私の暮す田舎家には軽トラも無ければ軽トラで出掛けていく仕事場も無い。
走り回る軽トラの音は”何もする仕事が無い私を嘲笑っている”ように聞こえてしまうのだ。
現役の頃は周りの同僚がしゃかりきに仕事を進めていても何の焦燥感も無かった、
コンビニで一杯引っかけて来ては行き詰った仕事を発酵させて一日中天を仰いでいたものだ。
それは挽回できる自信が有ったからだ。
その私が、
軽トラの走り回る音には心底から得体の知れない恐れと焦燥を感じてしまうのだ。
農業エリートにはどうあがいても敵わないとの予感だ。
日々重ねるうちにそれは”かなりの”「軽トラストレス」になってきている。
う~む、困った。
田舎の衆はあたりまえのことをしているだけなのに私のストレスは蓄積してしまう。
うだうだとしながら寝床で教訓を見る。
※ストレスから距離を取る。ことは出来ない・・(瞬)・・遠ざけることも出来ないな、営農妨害だ。
※ストレスを発散する。ことも出来ない・・・(短い間)・・・酒でも飲むか?あっこれはあかんやった。錦三のネオン街も此処には無いし。
※別の方法を考えてみる。・・・・・(長い間)・・・・・・閃いたぞ~。私も軽トラ買ってむやみやたらに3時頃から走り回ったる。
田舎の情報網はネットを凌駕する、瞬く間に私の奇行は村中に知れ渡り、やがて区長がすまなそうに訪れる。
「○○君、5時からにしてくれる~、一応、、日の出日の入り晴耕雨読がルールだで」。