現在進行形
父母が施設に入所して直ぐに私の精神状態は悪化した。
自宅で父母の介護をしているときには日課が有った訳だが、今は夕刻父母の面会をするだけの身になった。
昼はカラスとカエルの鳴き声だけ、夜は漆黒無音の闇の中である。
40年以上離れていた田舎の生活に私は苦痛を覚え始めた。
持て余した時間に私を誘惑してきたのは2年近く断っていたアルコールである、
予想通りに嫌悪感に支配されただけで何も精神状態の改善に至らない。
断酒の誓いを破った過ちは素直に認めて周囲にその事実を報告して処方しておく。
最も悲しませてしまったのは父だろう。
辛い身の上に追い打ちをかけるような心配ごとを負わせてしまった。
そして私のことを心配し続けてくれる姉さんにも。
今日、
1年以上にわたって参加している断酒会の主催者夫婦が田舎の家を訪れてくれた。
「仕事のついでに立ち寄った」と言うがそうでないのは明らかだ、私を心配して遠方からわざわざ尋ねてきてくれたのだ。
今まで欠席したことの無かった私が父母のことで断酒会を欠席したので、私の変調を察したのだろう。電波も飛び交ったようだが。
私の父母のことや田舎の家の維持のこと、ご夫婦のことなど歓談をした。
ご主人は73歳の現役仕事人であり30年前の酷いアルコール依存症を克服し12年前にこの断酒会を立ち上げお二人で心血を注いでおられる。
ご主人は家の内外を観て放置はできないと判断したのか「状況は良く解りました」。
奥様は「貴方を目標に頑張っている人が居るので是非又来て欲しい」と言う。
私は「状況の許すかぎりは又参加しますよ」と少々の負荷を抱えた本心を言って別れた。
Y市の自宅と田舎の家の距離感は安易に往来を約束できるものではないから。