現在進行形

 今日は息子が田舎に来てくれた。

父母の施設に面会に行き、さて。どう感じたろうか?

父母は認知症の母の身守りの為に一人用個室にベッドを並べて二人で生活をしている。

父が側に居ないと母の行動は予測の範囲に収まらない。

父は施設職員の仕事の一翼を負っている訳だ。

契約上の父の部屋は空き部屋のままだ。

狭い空間に閉じ込められ自由に行動できない父が不憫でならない。

母は面会に来たのが孫であると分かったようだがそれは直ぐに忘れ去られてしまうだろう。

母の行動は厳重に管理されている、ベッドで起き上がる度にセンサーが作動して職員が飛んでくる。

家族が居る間だけでもセンサーをカットすれば良いものを「これが仕事ですから」と飛んでくる。

 夕刻風呂上がりに携帯が鳴っている。

施設からだろうと嫌な予感、違った、断酒会の主催者の奥様であった。

前回断酒会を始めて欠席したので心配してくれている。

「明日、主人が其方の方に仕事に行くので私もついていくのよ、簡単な仕事だから直ぐ終わるの。家は何処?会いましょうよ」

そんなことを言ってくれる。

「獣の多い山中ですから襲われると申し訳ない、少し人気の有るところで会いましょう」と言うと、

「携帯は充電しておいてね、電気は来てるんでしょう其処は」と笑わせてくれる。

待ち合わせ場所を決めて電話を切る。

一瞬目頭が熱くなる。

私のことを心配してくれている人がここにもいた。