次なるドキュメント
この頃から妻は車椅子の室内使用を始める。
もう歩行器や手引き歩行では移動が困難になってきた。
狭い居室内にジャングルジムのように林立していた上下突っ張り手すりは撤去されたが、
元々が狭いマンションでもあり車椅子での移動範囲は限られていた。
そのため妻はほとんどベッドに寝たきりで食事もベッドでオーバーテーブルを使って食べていた。
妻の楽しみはスイーツと音楽と三匹の猫だけであった。
それでもショートステイに行く時には結構な荷物が有った。
着替え、洗面化粧用品、読みかけの本、CD、パソコン、お気に入りの枕、体位調整クッション、お気に入りの掛け毛布、テーブル等々、
日常家で使うものはほとんど持っていった、猫だけが置いて行かれた。
ショートステイ先の妻の部屋には他の部屋(大方は老人である)とは異質な雰囲気が有った、
妻の部屋にはアロマが香り音楽が流れ若いスタッフが集まっていた。
介護職の経験もある妻は若いスタッフに慕われていたようだ。
一度「ショート施設に手紙を置いてきてちょうだい」と言われて、内容を拝見したらスタッフへの克明な評価が書かれてあった。
私は何さまのつもり?と一瞬躊躇して破って捨てようかと思ったが思い直して何食わぬ顔で置いてきた(ー_ー)!!。
それ以降も妻の部屋にはスタッフが集ってきたから辛口の評価も受け入れられたみたいで良かった(^O^)/。
妻は介護について一家言もっており、自分が介護される側になりその理想を周りに求めていた。
しかし現実は理想に届かぬことも多く、その最たるものが私の介護能力だったのかも知れない。