コンビニ入口の扉を開けて店内に入ると、
既に周さんはショートホープ1個を用意している。
私はレジに行きタバコを受け取り小銭を置いて出てくる。
周さんはガラス越しに私の表情を読みタバコか酒かを察知する。
阿吽の呼吸。
コンビニ前に駐輪しているバイクは周さんのだろうか?
ハスラー250。
仮面ライダーなどの正義のヒーローが好んで乗っていた。
パンチのある乗り味を覚えている。
2本プラグは緊急時に役立つのか。
高校時代の友人がこれに乗っていて、
彼の弟が無断で乗り出し速攻で谷底に落ちた。
弟は藤のつるに引っかかって助かったがハスラーは谷底の岩にグシャ。
ロープで引っ張り上げて無傷のエンジンだけ貰ってきた。
畑に植えて毎日水をやっていたが正義のヒーローには育たなかった。
別の友人がエンジンを焼きつかせて泣いていたのでそのエンジンに載せ換えてやった。
私は彼だけのヒーローになって満足した。
私が助けを呼びたいと思ったときは、たぶん彼、周さんの顔が真っ先に浮かぶだろう。
周さんはハスラーを駆って颯爽と現れてくれるでしょうか。