ジャンは急いで、家を出た。今日遅刻したらクビだって言われていたからだ。
いそいで、自転車に飛び乗り、必死でこぎ始めた。
バイトが始まるまで後10分。ジャンは必死で自転車をこいだ。
狭い路地を抜けると、トタン屋根が印象的な工場地帯だ。
いきなり、後ろから、黒塗りのアウディが迫ってきた。
ジャンはあわててブレーキを踏み、狭い路地の端に自転車を寄せた。
アウディはジャンの横を猛スピードで走り去っていった。
ジャンは時計に目をやった。
まだ、間に合う。
遅れた時間を取り戻そうと、ペダルに足をかけた。しかし、その瞬間、いきなり誰かに体当たりを食らわされ、自転車から落ちてしまったのだ。
はっきりとは見えなかったが、スーツを来た長身の男のようだった。
そいつは、ジャンの自転車に飛び乗り、手首のリングを気にしながら猛スピードで走り去っていった。
さっきのアウディを追いかけているようだった。
ジャンは歩いてバイト先へ向かった。
事情を話したが、当然聞いてくれる筈もなく。
ジャンは家に戻った。
数日後、新聞にある記事が載っていた。
「電車にアウディが突っ込んだ」
ジャンは新聞をテーブルに置き、家を出た。
さあバイトの面接だ。